研究課題/領域番号 |
16K18065
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
奥山 由 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (50761699)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イオン移動度 / 反応速度係数 / 放電 / 大気圧プラズマ |
研究実績の概要 |
近年、大気圧プラズマの環境や医療分野への応用研究が幅広く行われている。これらの研究に伴い、大気圧下でのイオン移動度やイオン・分子反応の反応速度係数などの基礎データの需要が高まってきている。そこで本研究は、新型イオン移動度測定装置の開発を行い、大気圧下のイオン移動度及び反応速度係数を決定することを目的とした。具体的には①酸素と窒素の混合ガス、即ち、空気中における負イオン移動度の測定、②測定手法の検討、③観測されたイオン種の同定及び反応速度係数の決定を行うが、2016年度は①及び②について検討する予定であった。 しかしながら、2016年度の7月に研究代表者の所属機関が千葉工業大学から苫小牧工業高等専門学校へ変更となり、これに伴い実験計画を見直す必要があった。まず、研究はこれまで研究代表者が千葉工業大学で使用していた実験装置も用いる予定であったが、それらを苫小牧工業高等専門学校に移す必要があった。また、移動が不可能なものについては代替品を用いることにした。以上のことから、装置の運搬費及び代替品の購入が必要となり、新たに装置を組み立てることが難しくなった。そこで代案として、これまでに用いてきた実験装置を改良することにした。これにより、①空気中における負イオン移動度の測定と③観測されたイオン種の同定及び反応速度係数の決定は予定通り行うことが可能である。②に関しては、イオン形成方法及び検出方法を実験的に検討する予定であったが、これまでに報告されている他の測定者らの結果と比較、可能であればシミュレーションなどによって行うことにした。 2016年度は、実験装置の移動及び改良をほぼ完了した。また、既に行っていた酸素中の移動度測定結果から、いくつかの反応速度について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度は研究代表者の所属機関変更に伴い実験計画の見直しの必要があった。3年間の実施予定計画としては、2016年度に実験装置の移動及び改良を行い、2017年度に①空気中における負イオン移動度の測定を終わらせ、並行して②測定手法の検討及び③観測されたイオン種の同定及び反応速度係数の決定を行い、最終年度には2017年度で終わりきらなかった部分を行う予定である。 2016年度は、実験計画を見直す必要があったが、見直し後は、計画通りに実験装置の移動及び改良がほぼ完了したため、現在までの進歩状況は「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度中に実験装置の改良はほとんど終わった状態であるので、2017年度は①空気中の移動度測定を行う予定である。ここでは、酸素と空気の混合ガスに、微量な水分や二酸化炭素などの不純物を混ぜ、その際の移動度の変化から③観測されたイオン種の同定及び反応速度係数の決定を行っていく予定である。②測定手法の検討については、これまでに他の測定者によって報告されている結果と比較しながら、可能であればシミュレーションも行い検討していく予定である。また、得られた成果は随時、国内の学会及び国際会議などで発表し、論文投稿をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述した通り、2016年度7月に研究代表者の所属機関変更があり、それに伴い実験計画の見直しが必要となった。そのため、当初は新たな実験装置を製作する予定であったが、従来まで用いていた装置を改良し、研究を進めていくことにした。したがって、当初予定していた装置の製作にかかる費用が、実験装置の運搬費及び移動が不可能な機器の代替品の購入費となった。また、当初は2016年度から実験を行っていく予定であったが、実験計画の見直しにより、実験装置の運搬と改良を行っていたため、実験にかかる物品費、具体的には実験用の超高純度ガス(酸素や窒素など)の購入のための費用を残すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度に繰り越した分は、主に実験に必要なガスボンベなどの物品費に用いる予定である。また、実験装置の改良は大体完了しているが、実験を行っていくうちにさらなる改良が必要になる可能性もあるため、その費用としても用いる予定である。当初予定していた平成29年度の請求分は、予定通り物品費、旅費、論文投稿料などのその他の費用として用いていく予定である。
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