研究実績の概要 |
本研究の目的は, 電力系統の安定性と安全性を保ちつつ太陽光発電を有効活用するため, 複数の需要家の負荷に合わせて発電電力を調整および融通する新たな機能を有する系統連系インバータの開発である. 本研究の目的を達成するため, 系統連系インバータの実時間における負荷の推定と負荷の状態に応じた電力調整が必要である. また, 実時間の推定を実現するためには, 短時間かつ精度の高い推定が求められる. そのため, 本年度は負荷推定機能を有するインバータを用いた純抵抗に対する推定精度の向上および誘導成分を有する負荷の推定に携わった. 昨年度までの先行研究では, 系統連系インバータによる負荷推定において推定信号を複数周波数成分にすることで推定精度が向上し, 推定時間も短縮することを実機により検証した.そこで本年度は, 推定信号に広い周波数成分を有する擬似ランダム信号を使用した系統連系インバータの負荷推定を実機により検討した.その結果, 推定信号に擬似ランダム信号を使用することで推定精度が向上することを明らかにした. 加えて, 推定時間を先行研究の1/30倍に短縮することを可能にした.この成果を電気学会産業応用部門大会YPCにて研究発表した. 次に, 誘導性負荷を推定対象にした場合の系統連系インバータによる負荷推定を, 推定信号に擬似ランダム信号を使用し実機により検討した. その結果, 誘導性負荷を推定対象とした場合でも, 同様の手法により負荷推定が可能であることを置きらかにした. この結果を平成31年度電気学会全国大会において報告した.
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