研究課題/領域番号 |
16K18078
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
岸 直希 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70470044)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 熱電変換薄膜 / 透明電極 |
研究実績の概要 |
フレキシブル・透明な熱電変換素子の実現を目指し、以下の研究を行った。 1.高光透過性を持つ有機系熱電変換薄膜の作製と熱電変換特性の改善 有機系熱電変換材料であるPEDOT:PSSの熱電変換特性改善を目的に、界面活性剤の導入を行い、その作製プロセスの最適化を行った。導入する界面活性剤材料としてドデシル硫酸ナトリウムを用い、熱電変換特性であるパワーファクターはその導入量に依存することを明らかにした。1重量%の導入量までは、その量に依存しパワーファクターが向上し、それ以上の量ではパワーファクターが逆に減少することが明らかとなった。これはPEDOT:PSSの導電率がドデシル硫酸ナトリウム量に依存し大きくなるのに対し、ゼーベック係数は逆に減少し、トレードオフの関係となるためである。また、膜厚の最適化を図ることにより、550nmにおける光透過率93%の光透過性の高い熱電変換薄膜を得ることができた。 2.カーボンナノチューブ透明導電膜の分散材レス成膜法の開発 透明・フレキシブルな熱電変換素子における透明電極に用いるカーボンナノチューブ薄膜の成膜を行った。分散媒として有機溶媒を用い、分散剤レスのバーコート成膜を行った。バーコートに用いるカーボンナノチューブ分散液の粘度はカーボンナノチューブ濃度に依存し、その最適化を行った。その結果550nmにおける光透過率88%で3kΩ/sq.程度の薄膜を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究で光透過性の高いPEDOT:PSS熱電変換薄膜の成膜条件の基本的な指針について得ることができた。しかしながら熱電変換特性としては十分でなく、さらなる改善が必要であるため、次年度以降もその向上に向けた研究を実施する。またカーボンナノチューブ透明電極については本年度の研究で分散材レス成膜の成膜条件の指針を得ることができた。素子に用いるためにはさらなる低抵抗化が必要であり、今後の検討課題である。
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今後の研究の推進方策 |
PEDOT:PSSのさらなる熱電変換特性向上に向け、界面活性剤に加え第2の添加剤量の導入の検討も行う。二種の導入によるその効果を明らかにする。またH28年度の研究で界面活性剤の導入によるPEDOT:PSSのゼーベック係数の減少がみられたため、電気特性の詳細な評価を行うことによりそのメカニズムも明らかにする。カーボンナノチューブ透明電極については、ドーピングの検討を始めさらなる低抵抗化を図る。これらの研究をベースに熱電変換素子の試作へと展開し、透明・フレキシブルな熱電変換素子のデモンストレーションを行う。
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