研究課題/領域番号 |
16K18083
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤澤 剛 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (70557660)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光ファイバ通信 / モード分割多重 / 光デバイス |
研究実績の概要 |
H28年度には、モード分割多重通信の高機能化を目指し、以下の成果を得た。(1)3モード、スクランブル型モード合分波器の実現、(2)モード制御光波回路最適設計のためのフルベクトル波面整合法の開発、(3)3モード交換器の実現。(1)について、従来研究されていた、モード間消光比の大きなモード合分波器ではなく、MIMO受信することを前提に、むしろモードを混ぜ合わせて合波する、スクランブル型モード合分波器の概念を初めて提案し、石英系平面光波回路のプラットフォームを用い、スクランブル型3モード合分波器を世界で初めて実現した。(2)について、多重モード数を増やしていくためには、比屈折率差の大きな導波路を用いる必要があるが、そうした導波路では従来のスカラ波近似解析では十分ではなく、フルベクトル解析が必須となる。そうした高Δ導波路において、材料の究極性能を導き出すための最適化手法として、世界で初めてのフルベクトル波面整合法を開発した。(3)について、伝送路と伝送路の間の中継ポイントにおいて、各信号の伝搬モードを交換することにより、MIMO受信において問題となる、モード間群遅延差、モード依存損失を低減することができる。ここでは、石英系平面光波回路プラットフォームにおいて、1チップの3モード交換器を世界で初めて実現した。(1)、(2)の成果については、2017年3月に米国で開催された、光通信のトップカンファレンスである、Optical Fiber Communication Conferenceにて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実績の概要において記載した、(1)3モード、スクランブル型モード合分波器の実現、(2)モード制御光波回路最適設計のためのフルベクトル波面整合法の開発については、研究計画調書に記した通り、H28年度の目標であったが、(3)3モード交換器の実現については、H29年度の目標であり、研究計画を前倒しで実現できているため、当初の計画以上に進展している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度の研究では、研究計画の予定通り、Siフォトニクス技術を用いた超小型モード制御光波回路の実現を目指す。その際、H28年度に開発した、フルベクトル波面整合法を駆使して、人間の手による設計では到達することのできない、究極のモード制御光波回路を探索する。また、H28年度に実現した、スクランブル型モード合分波器、モード交換器の詳細な評価を行い、今後モード数を増やしていくための基礎的知見を得る。
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