本研究では切り紙構造と機能性流体を使うことでフレキシブルな発光デバイス/ディスプレイを実現する。シート材料に切り込みを入れ引伸ばすと、シートが面外変形を起こし三次元構造が得られる。この三次元構造を切り紙構造と呼ぶ。シート材料にあらかじめ電極をパターニングし、さらに三次元構造に機能性流体を配置することでフレキシブルかつストレッチャブルな電子デバイスをつくることができる。本研究では機能性流体として発色/発光流体を用いることでフレキシブルかつストレッチャブルな発光デバイス/ディスプレイを実現する。 前年度までにレーザーカッターを使いPETフィルムに切り込みをいれることで、電極がパターニングされた切り紙構造を作ることに成功しており、さらにその切り紙構造にイオン液体を配置できることを確認した。本年度ではレーザーカッターの出力を調整することで切り込みの深さを制御することでPETフィルムの面外変形の方向を制御し、より効果的に液体を保持することのできる構造を得ることができた。さらに無機EL粒子を弾性体polydimethylsiloxaneに混ぜたものを切り紙構造に配置することで横8列、縦17列の画素を持つ発光デバイスを実現した。切り紙構造および弾性体ともにフレキシブルかつストレッチャブルな性質を持っているため最終的なデバイスもフレキシブルかつストレッチャブルな性質を持つ。この性質を活かし、直径2cmの円筒および直径75mmの半球上に取り付けても機能する発光デバイスを実現した。 これらの成果は採択率が約10%であるIEEE主催の2019年度Micro Electromechanical systems学会の口頭発表に採択されるとともに、2019年春季日本応用物理学会において優秀ポスター賞を受賞するに至った。
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