研究課題/領域番号 |
16K18103
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
市野 将嗣 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80548892)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生体認証 |
研究実績の概要 |
システム利用者の正当性を確認する生体認証の重要性が高まる中,複数のモダリティを用いるマルチモーダルバイオメトリクスが実用化に向けての現実的な解として認識されている.カメラの技術が進歩し高解像度の動画像撮影が可能となり,一度に数十のモダリティを取得することが可能になった.本研究では,多くのモダリティから認証に有効な組み合わせを明らかにし,動的に組み合わせる認証を検討する. 虹彩認証は,指紋認証などのほかの生体認証と比べて,非常に高い認証精度を持つ.しかし,この虹彩認証は至近距離での撮影が必要となるため,被認証者の負担が大きくなり,利便性が低下するという問題点がある.これを軽減するために,認証機器から離れた距離で虹彩を撮影する方法が考えられるが,画質劣化による認証精度の低下が報告されている.この問題に対して,虹彩認証と比べて利便性が高い認証方式として,目の周辺画像を用いた認証(以下,目の周辺認証)が注目されている. 虹彩と目の周辺画像を用いた認証の多くの先行研究では,目の周辺認証を目の周辺の領域ごとの個人性を意識せずに行っている.目の周辺には,まぶたや目頭の形など明らかに個人性が存在する部分がある他,部位として明確に定義されてない領域にも個人性が存在すると考えられる.そこで本研究では,虹彩認証と目の周辺認証のマルチモーダルバイオメトリック認証において,目の周辺の領域ごとの個人性を積極的に利用するために,目の周辺の分割画像を利用した目の周辺認証方法を提案し,有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AdaBoostを用いて,モダリティを組み合わせた認証の精度向上を目的とした検討と実装,評価を行ったのは予定通りである.虹彩認証と目の周辺認証を組み合わせた先行研究では,部位ごとの個人性に関して十分に検討されていない.それを踏まえ,両目の虹彩,目の周辺とその分割画像から得られる特徴量それぞれに対してAdaBoostを用いて統合する手法を提案した.EER,識別率等を用いた評価実験の結果,従来手法と比較して精度が向上し,異なる粒度の領域から得られる特徴量を組み合わせることで,さらに精度が向上することを示した.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に引き続き, AdaBoostを用いて,モダリティを組み合わせた認証の実装と評価を行い,有効なモダリティの組み合わせを明らかにし,本技術の改良を続ける.各個人の分離の良さに関しての検討を引き続き進める.そして,目の周辺領域には個人性を多く含む部位があることを実験的に確認したので,各部位に対して多くの画像特徴量を抽出し,多くの特徴量の組み合わせ方法についても検討し,評価関数に組み込む方法について検討する.研究成果については,適宜,国際会議や論文誌,国内研究会等への投稿を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は理論的な検討が中心であり,当初予定していた設備備品の購入を繰り越したため
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