研究課題/領域番号 |
16K18107
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 大輔 岐阜大学, 工学部, 助教 (90759250)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スイッチングコンバータ / カオス制御 / 不安定周期軌道 |
研究実績の概要 |
実問題応用への準備として,パワーエレクトロニクス回路の一つである降圧型スイッチングコンバータ回路を対象として,分岐構造の解析を行った.数値解析の結果から,回路が不安定擾乱を起こす負荷-動作周波数の組み合わせをパラメタ空間として明らかにした.また,不安定周期軌道の情報を蓄積し,擾乱時の回路の振る舞いと不安定周期軌道の関係性を明らかにした.それらの成果を制御問題へ発展させるため,コンバータ回路を駆動するクロックパルスを変調することで不安定周期軌道を安定化し,回路の擾乱を抑制する新たな制御法を提案することに成功した. 一方,これまで,提案する疑似周期軌道を用いた安定化制御手法におけるフィードバックゲインの設計は試行錯誤が主であった.これは,疑似周期軌道が数学的に存在しない軌道であるため,理論的な考察が行えないためである.前年度及び当該年度の取り組みにおいて,Floquet 理論を拡張することにより,フィードバック系の安定性が評価できることが確認されたため,制御ゲイン設計への応用を検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画は以下である.1) 疑似周期軌道を用いた制御系の設計, 2) 電力系カオスシステムの解析, 3) フィードバック制御系における,より柔軟な安定性解析手法の確立 1)に関しては,昨年度の成果3次元カオスシステムの解析結果から,制御系のプロトタイプ実験を行い,数値実験及び実回路検証において制御可能であることが確認された.今後,制御ゲイン設計の検討が必要であると考えられる. 2)に関しては電力系電気回路の例として,スイッチングコンバータの数値解析及び,カオス制御設計を,今後取り組む,提案手法への見通しを立てた. 3)に関しては,数理モデルに仮の閉軌道を過程する近似を加えることで,安定性評価が可能となっているが,この評価法の精度を数値実験と比較し,確認する必要があると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの達成度から,今後は以下に記す研究を遂行する. 1) 電力系カオスシステムへの適用・考察 2) 不安定軌道探索問題への応用 3) 提案制御手法の多次元化とそれによる課題考察
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に電力系模擬実験装置の構築を検討しているが,より精度が高く,実システムに近い実験結果を得るため,測定機器や装置の設計を向上させる.具体的には,測定の分解能を向上させるため,より高周波数が観測できる測定装置やFPGAが必要となった.そのため,今年度予算で購入予定であった測定装置や模擬装置を今年度予算を併用しグレードアップさせることにする.
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