研究課題/領域番号 |
16K18115
|
研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
小田垣 雅人 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (40453211)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 経頭蓋磁気刺激 / 刺激部位呈示 / 導電性繊維 |
研究実績の概要 |
本研究では,経頭蓋磁気刺激法において刺激コイルを高精度で位置決めするための刺激コイルナビゲーションシステムを開発する.頭皮上に設置した複数個の磁場センサコイルにより測定される磁場分布からコイルの位置や向きを推定し,モニタ上に刺激部位の表示することを想定している.2年間で頭表面に置いた磁気刺激コイルから生じる磁場分布を有機導電性繊維を用いた磁場計測用コイルにより磁場分布を計測することを特徴とし,磁場センサを用いて磁気刺激コイルによる磁場分布を計測することを可能にすることを最終的な目標と設定している. 研究においては,はじめに刺激コイルにより発生する磁場を計測するための磁場センサコイルおよび測定回路を製作して,モデル実験による本手法の妥当性を検証した.市販の磁場センサと測定値を比較することにより,磁場センサとして適格であることを確認することができた.続けて複数個の磁場センサを頭部に配置して刺激コイルの位置決めおよびナビゲーションを行うことができるかをシミュレーションやモデル実験により検証した.実機システムを構築する前にコンピュータシミュレーションにより本手法の有効性を確認し,ノイズ混入による推定精度の評価を行い,実環境下におけるノイズレベルにおいては数ミリ程度の誤差に留まることを明らかにした. 一方でモデル実験において,製作した磁場センサを利用して経頭蓋磁気刺激の刺激コイルの位置決めを行うことを試みた.磁場分布を利用しても刺激コイルの3次元空間位置を特定することができなかったため,一度設定した刺激コイルの位置に磁場分布を利用することに再帰的に配置することができるシステムを構築した.標的とする刺激位置にセットした場合の磁場分布を記録しておき,再びその位置に磁場分布のみを頼りに刺激コイルを配置できるかを検証した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的である磁場センサからコイル位置を逆問題的に推定することを試みているが,刺激コイルが8の字型のコイルであり,磁場分布が複雑であるため刺激コイルの空間座標を推定することを実現できていない.そのため当初想定した推定アルゴリズムを継続することと並行して,標的とした刺激コイルによる磁場分布をあらかじめ記録しておき,再試行後に刺激コイル位置を再帰的に配置するシステムを構築することとした.これにより,空間中の磁場分布のみで刺激コイルを効率的にナビゲーションできることを明らかにした.現状では刺激コイルの位置ナビゲーションする方法について検討する. また現状の磁場センサは,導線を円形に巻いた2軸の磁場センサを5ch分利用している.これらのセンサにより計測された磁場と,あらかじめ設定した目標位置における磁場分布の内積から求められる評価関数を用いて,刺激コイル位置の再帰実験を行った.さらに導線のセンサにより磁場センサとその周辺回路のパラメータを決定する作業を行ったため,導電性繊維による磁場センサの評価までを行うことはできなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
モデル実験による検証を踏まえ,ヒトの頭部を対象としてシステムの開発を継続する.現状ではコイルの空間位置を推定することはできていないので,2年目は刺激コイルの空間位置の同定までを行う予定である. 続けて導電性の磁場センサの開発に取り掛かる.本研究の特徴として,3次元カメラを利用しないで刺激コイルを効率的に配置することが挙げられる.磁場センサも簡単なループ型のセンサを利用して開発を進めており,昨年度までに有効性を確認することができた.これらの知見を踏まえて,導電性の繊維を利用したキャップ型の磁場センサアレイを作成することを試み,導電性繊維を利用したキャップ型の磁場センサを用いてシステムを再構築する.システムを構築したあとは,3次元カメラを利用した方法と比較することによって,推定精度の検証を行う予定である.
|