研究課題/領域番号 |
16K18120
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
湯野 剛史 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (10756232)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非線形制御 / 制約 / 拘束 / 代数的手法 / 不変集合 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,制御対象に課された不等式制約を満足する制御器の設計法を確立し,ソフトウェアツールとして実用化することであった.本年度は,制約を満足する制御器が設計できるための十分条件について,その保守性(条件の厳しさ)をさらに詳しく解析したり,当該の制御器を設計するための手法が実用上扱いやすくなるように拡張したりすることを目標としていた. 本年度は,まず,当該の十分条件が成立するか否かが,その条件の中で用いられる補助変数の形に依存するということを示した.その一方で,いくつかの緩い仮定の下では,特定の形状の補助変数を用いれば,当該の十分条件は広く知られている既存の条件より保守性の低い(より必要条件に近い)十分条件となっていることを示した.この事実は本手法の有用性を強く示している.また,現状では,本手法がシンボリックな計算と簡単な数値演算から構成されており,数式処理システムと数値計算ソフトウェアを組み合わせて実行可能であることを確認した.したがって,本手法の理論的枠組みが完成した場合,本手法を容易に利用することができるようになると期待される.さらに,本手法を拡張することで,偏微分方程式系である連続時間時変Roesserモデルへ適用することにも成功した.なお,本手法ではこれまで静的な制御器と動的補償器とが区別なく設計されていたが,アファイン加群の変数消去理論を適用することで,それらを区別する手法も提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で導出した十分条件が必要条件になることは示せなかったものの,いくつかの緩い仮定の下では,広く知られている既存の条件よりも高い一般性を持つことを示すことができた.この事実は本手法の有用性を強く示している.制御器設計法のロバスト性や近似手法について,当初計画のアプローチより有用性の期待されるアプローチの着想を得たため,さらに研究を進めて,次年度で解決を図ることにする.一方,本手法が数式処理システムと数値計算ソフトウェアで実行可能であることを示すことができたため,ソフトウェアツール化については当初の想定以上に進展している.さらに,当初の想定を上回る理論的拡張や応用にも成功している.
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今後の研究の推進方策 |
制御器設計法のロバスト性や近似手法について,当初計画のアプローチより有用性の期待されるアプローチの着想を得たため,さらに研究を進めて,次年度で解決を図ることにする.また,ソフトウェアツール化について,さらに研究を進めて,使いやすい形での完成を目指す.さらに,本手法の理論的拡張や応用も進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
掲載料のかかる雑誌ではなく,かからない国際誌等に投稿したため.次年度は,国際会議出張費や計算機購入費,文献購入費等として使用する.
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