最終年度には,事前に指定される任意の目的関数の評価回数制約のもとで可能な限り優れた解を求める問題(「評価回数制約付き最適化問題」と呼ぶ)に関して,以下の研究成果を上げることができた。 (1)評価回数制約付き最適化問題の提起:この問題の工学的な価値を簡易例を通して論じることができた。また,この問題に要求される解法の仕様が通常の最適化問題に対する解法とは異なることを論じることができた。これらをまとめた内容を国際会議(SISY2019)で発表した。 (2)評価回数制約付き最適化問題の解法:評価回数制約付き最適化問題の解法として前年度に提案した枠組みをさらに一般化し,洗練させることができた。具体的には探索点群の期待値に基づいた探索状態を評価する指標を定義し,その指標を評価回数制約に対応させた理想曲線に追従させるようにアルゴリズ内のパラメータを調整する方法である。これによって指標で定義された探索状態を評価回数が与えられた評価回数制約に近づくにつれて「exploration」から「exploitation」へ徐々に遷移させることができる。一般性の高い枠組みであるので,ほとんどすべての既存の多点型大域的最適化手法に対して適用することができる。実際に強力な進化計算アルゴリズムであるParticle Swarm Optimization アルゴリズムと Differential Evolutionアルゴリズムに適用し,その有効性を検証することができた。Particle Swarm Optimizationアルゴリズムに対する結果を国際会議(SISY2019)で発表した。
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