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2019 年度 実績報告書

大規模電力ネットワークのスケーラブル制御

研究課題

研究課題/領域番号 16K18124
研究機関岡山県立大学

研究代表者

泉 晋作  岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (10757967)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード電力ネットワーク / スケーラブル制御 / 平衡点 / 安定性解析
研究実績の概要

本研究では,電力ネットワークを対象に,その規模に依存しない,すなわち「スケーラブルな」制御系設計理論の構築を目的としている.このような理論を構築できれば,対象とする電力ネットワークが大規模であっても,その制御系設計を効率的に行うことが可能となる.この目的に対し,本年度では主に以下の成果を得た.
1. スケーラブル制御器の設計問題を定式化し,その解の1つを与えた.具体的には,全発電機に対して同じ構造をもつ制御器をスケーラブル制御器と定め,フィードバック系の安定性の保証と良好な時間応答の実現を目的としたスケーラブル制御器の設計問題を検討した.そして,設計問題の解として,各発電機の制動力を一様に強化するようなスケーラブル制御器を提案した.さらに,フィードバック系の平衡点の安定性解析を行い,元の電力システムがある安定な平衡点をもつとき,提案制御器によってその安定性が保たれることを示した.これにより,制御器のゲインを調整することで,フィードバック系の安定性を保証しつつ,その時間応答に関する性能を改善できる.
2. 1. で提案したスケーラブル制御器のゲインの設計法を開発した.提案制御器によってフィードバック系の時間応答に関する性能が向上するかは制御器のゲインに大きく依存するが,1. ではその設計法を与えていなかった.これに対し,時間応答と制御にかかるコストを評価する指標として,フィードバック系の安定状態からの偏差と制御入力によって記述されるある評価関数を導入し,その値を小さくするようなゲインの設計法を開発した.計算機シミュレーションの結果,開発した設計法により,良好な時間応答を実現するゲインが得られることを示した.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Analysis of Robust Transient Stability of Power Systems using Sum of Squares Programming2020

    • 著者名/発表者名
      S. Izumi, H. Somekawa, X. Xin, and T. Yamasaki
    • 雑誌名

      International Journal of Electrical Power & Energy Systems

      巻: 115 ページ: 105401

    • DOI

      10.1016/j.ijepes.2019.105401

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of Small-Signal Stability of Power Systems with Photovoltaic Generators2019

    • 著者名/発表者名
      S. Izumi, Y. Karakawa, and X. Xin
    • 雑誌名

      Electrical Engineering

      巻: 101 ページ: 321-331

    • DOI

      10.1007/s00202-019-00778-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Design of Scalable Controllers for Power Systems2020

    • 著者名/発表者名
      S. Izumi
    • 学会等名
      21st World Congress of International Federation of Automatic Control
    • 国際学会
  • [学会発表] Scalable Control of Power Networks2019

    • 著者名/発表者名
      S. Izumi
    • 学会等名
      2019 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications
    • 国際学会
  • [学会発表] 電力システムのスケーラブル制御2019

    • 著者名/発表者名
      泉晋作
    • 学会等名
      第62回自動制御連合講演会

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公開日: 2021-01-27  

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