研究課題/領域番号 |
16K18126
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
芦原 佑樹 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (50511557)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 超高層大気 / 電離圏 / 電子密度 / GNSS-TEC / トモグラフィ / 観測ロケット |
研究実績の概要 |
本研究は,高い分解能を持つ電離圏電子密度の空間分布観測手法を開発することを目的としている. 本年度は,観測ロケットに搭載するGNSS-TEC受信システムの検討を行った.観測ロケットは飛翔中の姿勢を安定させる目的で,1~2Hz程度のゆっくりとした速度の回転運動が与えられる.GNSS衛星の電波は天頂方向から到来するため,ロケット構体側面に受信アンテナを設置した場合には,アンテナがロケット機体の影に入って受信できない時間が生じる.これに対応するため,GNSSアンテナをロケット構体側面の対称方向に2つ設置し,混合器で合成する受信システムについて受信性能を評価した.性能評価はロケット構体の地上モデルを作成して回転させることで,ロケット飛翔状態に近い環境を作った. 回転試験から得られた搬送波位相データからは,回転速度が変化する回転開始時と終了時は受信不能となるものの,定常回転中は概ね信号を受信できていた.しかしながら,2周波数の差分を取り,TECを算出したところ60TECU以上の変動値が得られ,電離圏観測でのF領域のトモグラフィとして必要な分解能(0.1TECU以上)を満たさないことがわかった。これは,信号ロックが瞬断された際に,GNSS受信機内部で搬送波位相の整数値バイアス値が変動することが原因とわかった.以上のことから,2アンテナを混合するアンテナシステムでは性能が不十分であるため,全方位連続受信できるアンテナシステムが必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採用予定のアンテナシステムでは,所望の性能を得られないことがわかった.そのため,アンテナシステムの再検討が必要である.また,JAXA観測ロケット実験に提案を行ったところ,条件付き採択の状況であるため,採択に向けた改善が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
全方位連続受信できるアンテナシステムとして,ロケット構体に巻き付けて設置できるWrap around antennaの採用を検討する.アンテナシステムを構築し,地上モデルを用いて回転追尾試験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
JAXAが公募していた平成30年度以降観測ロケット実験提案に応募したが,現在条件付き採択状況である.そのため,実験実施や打合せに必要な物品および旅費が未執行となった.
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