研究課題/領域番号 |
16K18127
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
池之上 正人 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (10353343)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | システム同定 / 変数誤差モデル同定 / 閉ループ同定 / 繰り返しアルゴリズム / 動的ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究では,動的ネットワークのモデリングに影響を与える雑音情報を明らかにし,その推定法を開発することにより,推定した雑音情報を利用する動的ネットワークのシステム同定法を開発することを目的としている。動的ネットワークの同定問題は,雑音を含む入出力データからシステムを同定する「変数誤差モデル同定問題」と,閉ループシステムの入出力データからシステムを同定する「閉ループ同定問題」の2つの側面を持っている。そこで,これらの同定問題を統合して研究を行い,特に今年度は,動的ネットワークの構造同定と実問題への応用を考え,以下の研究を進めた。 (1)実問題では入出力データに外れ値が生じる場合があり,その問題は変数誤差モデル同定問題とみなせる。そこで,外れ値がある場合に有効なロバスト推定法である「最小刈り込み2乗法」について考え,データ入れ替えに基づく新たな繰り返しアルゴリズムを導出し,その有効性を示した。 (2)動的ネットワークのモデリングに必要と考えられる「雑音分散」の推定値に注目し,変数誤差モデルの次数を雑音分散推定値を用いて推定する方法を提案した。また,数値シミュレーションによりその有効性を示した。 (3)動的ネットワークのモデリングに有効であると考えられる「バイアス補償法」について検討を行い,Isermannらの重み付き最小2乗推定値を用いたバイアス補償法の繰り返しアルゴリズムを導出した。また,その有効性をシミュレーションにより示した。 (4)大規模ネットワークの部分システムを同定する問題を考え,部分システムとコントローラからなる複合システムを「バイアス除去最小2乗法」に基づき同定し,複合システムから部分システムを求めるアプローチを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた雑音情報推定法開発と動的ネットワーク同定法開発については,おおむね予定通り研究を進めることができた。より精緻に課題を達成するために,繰り返しアルゴリズム開発および部分システム同定法開発についてさらなる検討をする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
以下の点について検討を行う予定である。 (1)変数誤差モデル同定における一般化固有値問題の繰り返しアルゴリズム開発(べき乗法を利用した繰り返しアルゴリズム開発) (2)2段階最小2乗推定値を用いたバイアス補償推定値および雑音分散推定値の繰り返しアルゴリズム開発 (3)部分システム同定法の検討
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初予定していた国際会議・国内会議への参加を中止したため,次年度使用額が生じた。 (使用計画) 本研究計画に関して行うべき課題をより精緻に達成するために,引き続き研究を実施する。得られた成果を公表するために,国内会議参加旅費,会議参加登録料,研究成果投稿料(学会誌投稿料)として予算を計上し使用する計画である。
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