研究課題/領域番号 |
16K18133
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
近藤 拓也 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (70758672)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | けい酸塩系表面含浸工法 / ビッカース硬さ試験 / 硬度増分 / 含浸深さ / 塩化物イオンの見かけの拡散係数 / 塩分浸透阻止性 |
研究実績の概要 |
けい酸塩系表面含浸工法の劣化因子侵入阻止性の評価指標を定めることを目的に試験を行っている。評価指標は,けい酸塩系表面含浸材の含浸部分がCa(OH)2と反応することにより生じるビッカース硬度試験での非含浸部分との硬度増分と、含浸深さの面積とした。平成28年度については,これら評価指標の関係と塩化物イオン浸透阻止性および中性化阻止性について検討を行った。 評価指標については,各種表面含浸材を施工した後,ビッカース硬度試験により供試体切断部分の硬度を測定し,硬度増分と含浸深さを測定することにより算定した。本測定では,水セメント比および含浸材の種類を要因として試験を行った。これにより今まで明らかとなっていなかった,水セメント比とけい酸塩系表面含浸工法の反応効果について,水セメント比の低下とともに含浸深さ×ビッカース硬度増分の面積が増加する傾向を明らかとした。 塩化物イオン浸透阻止性については,表面含浸材による改質部分と非改質部分の見かけの拡散係数比と,評価指標であるビッカース硬度増分と含浸深さの面積の関係によって評価を行った。その結果,面積が90Hv・mm以下であれば面積と拡散係数比が増加する傾向を示し,定量評価できる可能性を示した。しかし,面積が90Hv・mm以上になると,塩分浸透阻止性が明確な挙動を示さなくなることから,本指標による評価が難しくなることも明らかとした。 中性化阻止性についても検討を行ったが,本来目的としている箇所以外で中性化が促進し,正確な測定を実施できなかったことから,平成29年度に再度実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
けい酸塩系表面含浸工法の劣化因子侵入阻止性に関する指標について,塩化物イオンについては,上記により一定の傾向を得られたと考える。そのため,順調な研究進捗が行えているものと考える。しかし,中性化阻止性については平成29年度に再度実施することから,概ね順調に進展しているものと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度については,評価指標と,水分侵入阻止性,凍結融解抵抗性,および中性化阻止性との関連性を得るために試験を行う。また,平成28年度に得られた評価指標と塩分侵入阻止性との関連性について公表するため,日本コンクリート工学会年次論文集,コンクリート構造物の補修・補強・アップグレード論文集および国際学会への投稿(1編)を行うこととする。 平成30年度については,評価指標の有効性についてとりまとめる。また,各学会等の論文集への投稿を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定作業の一部が3月末まで時間を要し、この人件費支払いが年度を超えたことが主たる理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
表面含浸材のビッカース硬度測定を行うため、金沢工業大に向かうための旅費および人件費が大きな支出要因である。また、成果公表を行うため、日本コンクリート工学会年次講演会、コンクリート構造物の補修・補強・アップグレードシンポジウム、および国際学会(シンガポール)への参加費用ならびに旅行費用が生じる。 あとは試験供試体作成費用および装置メンテナンス費用として使用する。
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