研究課題
橋梁等の耐震設計は今まで,想定レベルの地震に対し,構造物が耐力低下までの応答変位が生じないように,設計の便宜を優先して,具体的な破壊分析は必要としていない.近年の大地震などの自然災害の発生を受け,防災能力を向上するために,世界各国の耐震設計に新たな知見を盛り込めるように様々な努力が行われている.しかし,1995年の兵庫県南部地震や2011年の東北地方太平洋沖地震などの想定外地震の発生をきっかけにして,従来の安全性と復旧性に対して,想定外地震が発生しても壊滅的な状態(危機)に陥りにくいという危機耐性の概念が検討されている.日本の耐震設計は,従来の想定した地震動のみ安全の義務を有することから,さまざまの未然を防ぐことができるように進化している.想定外地震動を受ける免震橋の危機耐性を評価する手法の開発を目指して,危機耐性評価のための数値解析手法の検証と橋梁解析モデルの構築が重要である.昨年度までは,高減衰ゴム支承の縮小試験体を用いた繰り返し載荷実験および神戸地震動を用いたハイブリッドシミュレーション実験で得られた結果と解析で得られた結果を比較することによって,提案した修正Park-Wenモデルの妥当性を検証した.今年度では、高速道路高架橋の地震応答解析において、2質点系モデルを用い構築し、漸増動的解析を行い、前述した危機耐性を評価するための基礎データと破壊パターンとその確率を把握する。解析用地震動は、アメリカのPEERと日本の気象庁および防災科研(K-net)から、大地震で記録した強い揺れの加速度記録をダウンロードし計100セットを使用した。漸増解析によって得られた構造物の倒壊確率について、設計地震動レベルを大きく超えたレベルに発生することがほとんどであるが、ゴム支承が破断することによって、落橋が発生することが主な最終破壊状態となっている。
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