| 研究課題/領域番号 |
16K18138
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| 研究機関 | 東京工業大学 |
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研究代表者 |
中村 拓郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (20588850)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 鉄筋コンクリート / Ｔ形はり / せん断耐荷機構 / せん断スパン比 / せん断補強鉄筋 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、せん断耐力予測式が未だ確立されていないＴ形断面を有する鉄筋コンクリートはり（Ｔ形ＲＣはり）に対して、３次元非線形有限要素解析と画像解析を併用して３次元空間における損傷程度・損傷領域の変化を定量的に評価し、Ｔ形ＲＣはり特有のせん断耐荷機構を明らかにするとによって、Ｔ形断面特有の様々なパラメータがせん断破壊挙動へ及ぼす影響度を適切に反映させた実用的なせん断耐力予測式を提案し、喫緊の課題である建設コスト縮減と効率的かつ効果的な維持管理計画の実現に貢献することを目指している。
平成２８年度は、Ｔ形ＲＣはりのせん断破壊の特徴を確認することを目的に実験的検証を重点的に行った。当初計画していたせん断補強筋の影響に加え、平成２９年度に実施予定としていたせん断スパン比の影響についても先行して検討した。その結果、フランジ幅を無視したせん断耐力の計算値はＴ形ＲＣはりのせん断耐力を過小評価し、せん断スパン比が小さいほど圧縮フランジの存在によるせん断耐力の増加が大きくなることを確認した。また、せん断スパン比によってウェブと圧縮フランジの斜めひび割れの連続性が異なることを明らかにした。さらに、支点直上の引張鉄筋のひずみを用いてビーム機構とアーチ機構の負担するせん断抵抗を検討した結果、Ｔ形ＲＣはりでは最大荷重時にアーチ機構が負担するせん断抵抗が矩形はりと比較して大きくなること、せん断補強鉄筋の配置間隔が広いほどビーム機構によるせん断抵抗が失われやすくなることを示した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、３次元非線形有限要素解析による数値解析的検証と、画像解析を併用した構造実験による実験的検証の２本の柱を並行して実施し、これらを相互にフィードバックしながらＴ形ＲＣはりのせん断耐力に寄与する多くの影響要因について、相対的かつ効率的に整理・分析する研究計画としている。
平成２８年度は、数値解析的検証として、Ｔ形断面特有のパラメータ（フランジ幅や厚さ等）や鉄筋量、せん断スパン比、支持条件等を任意に設定したパラメトリック解析を行う予定であったが、解析結果の確からしさを担保するために、既往文献調査をふまえて特に支配的となる可能性の高い実験パラメータを決定し、平成２９年度以降に計画していた供試体も含めた実験的検証を重点的に行うこととした。このため、数値解析的検証に関する成果が当初計画より若干遅れてはいるものの、これについては平成２９年度中に重点的に実施することによって対応する。また、研究成果の一部は既に論文として取りまとめて投稿中であるなど、研究全体としては、十分に成果が上がっており、おおむね順調に進展していると判断している。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成２９年度は、数値解析的検証を中心に検討を進めることとし、実験的検証についても継続して実施する。数値解析的検証では、パラメトリック解析の実施と、平成２８年度に実施したＴ形ＲＣはりの実験結果の再現解析を実施し、有限要素解析結果、画像解析結果、載荷実験結果を相互に比較、検証することによって、Ｔ形ＲＣはり特有のパラメータがせん断破壊挙動における損傷領域・損傷程度の変化に及ぼす影響度について検討を進める。また、実験的検証では、フランジ幅の影響を中心に検討を進める予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
ＲＣはり試験体を予定より安価に製作できたため，予算に余りが生じた。
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成２９年度の試験体製作費および論文投稿費に充当する。
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