近年、鋼橋の部材に疲労亀裂の発生事例が増加している。疲労亀裂は、発生部位によっては、進展すると脆性破壊を引き起こし、橋梁の安全性に重大な影響を及ぼす恐れがある。したがって、早い時期で発見し、適切な処置を行うことが重要である。 鋼橋で用いられている亀裂検査法として磁粉探傷試験や浸透探傷試験がある。これらの検査法は、時間が長い、範囲が狭い、塗装を除去しないと検査できないなどの問題がある。そこで、本研究では、既存の検査技術の問題を解決するため橋梁塗装を除去することなく短時間かつ広範囲に鋼材の亀裂を検査可能な技術を開発した。開発手法は塗装の上から誘導加熱装置により加熱させて亀裂を開閉させる。加熱前後(亀裂の開閉前後)の画像を計測し、デジタル画像相関法で画像解析を行う。画像解析により亀裂の開閉がひずみの集中として可視化される。研究成果とし、短期間で鋼材を加熱できる誘導加熱加熱装置の開発を行った。また、小型のデジタルカメラを用いた専用のカメラ装置の開発を行い、カメラ装置をワンタッチで鋼部材に設置できる治具の開発を行った。また、疲労亀裂が入った鋼部材において検出実験を行った結果、亀裂の可視化に成功した。
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