研究課題/領域番号 |
16K18144
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
磯部 公一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70452084)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 杭基礎 / 損傷制御 / 耐震性能 / 液状化 / 振動台実験 / 数値解析 / 上下部基礎工一体 / 杭と地盤の相互作用 |
研究実績の概要 |
杭基礎一体型鋼管集成橋脚を対象とした大型振動台実験の結果を再整理するとともに,その再現解析を実施し,杭基礎一体型鋼管集成橋脚の動的挙動,損傷発生メカニズムおよび振動数特性について検討を行った.得られた知見は以下の通りである. 地盤パラメータ,減衰パラメータを適切に設定することで,定性的にも定量的にも十分な精度で振動台実験の結果を再現することができた. 構造物の固有振動数と入力振動数との関係による耐震性能への影響を把握するために,パラメトリックスタディーを行った結果,杭基礎一体型の耐震性能のフーチング型に対する優位性は構造物の固有振動数と入力振動数の関係に依存し,静的解析の結果には見られない現象であることが明らかになった.これは,上下部工・基礎・地盤一体として解析することの必要性を示唆するものであり,特に減衰力の設定が極めて重要になる. 振動台実験および再現解析の結果において見られた,フーチング型に対する杭基礎一体型の耐震性能の優位性の要因は,せん断パネルの塑性化後では入力地震動に対する橋脚天端の応答加速度倍率がいずれの振動数帯においても杭基礎一体型よりもフーチング型において大きくなる傾向にあること,せん断パネルの塑性化に起因した構造全体の剛性の低下率も杭基礎一体型よりフーチング型において著しいことが相乗効果となって発生したものと考えられる. 数値解析においても,フーチングを省略した杭基礎一体型鋼管集成橋脚は地盤の過大な応答変位や液状化が懸念される軟弱地盤でより優れた変形性能を発揮し,軟弱地盤においても高い適応性があることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に実施を予定していた通り,[A]再現解析の高精度化と[B]それに基づく提案構造形式が優れた耐震性能を発揮する条件の明確化を実行できた.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降では当初の予定通り,同様の解析手法を用いて,実構造物解析での検討,地中梁およびせん断パネルのせん断ひずみ量を観測パラメータとした杭基礎損傷程度の予測手法の提案,当該構造物の地震経験後における耐震性能低下の評価および地盤の修復性に関する予備検討を進める方針である.
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