研究課題/領域番号 |
16K18147
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
酒井 崇之 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20773592)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 泥岩盛土 / スレーキング / 地震応答解析 / 耐震対策 |
研究実績の概要 |
乾湿繰返し圧密試験機を用いて上載荷重を与えたまま乾湿繰返しを行い、スレーキングを進行させる際に、どの程度の期間乾燥水浸をさせれば、供試体が十分に乾燥、飽和するのか調べるために予備試験を行った。この際、供試体の高さも乾燥・水浸の時間に影響を与えると考えられるため、高さ5cm、10cm、20cmの供試体に対し、試験を行った。試験の結果、水浸3日で飽和度80%まで飽和させることができ、飽和にかかる期間は供試体高さに依らないことがわかった。乾燥については、高さ20cmの供試体については、二週間経過しても完全に乾燥させることができなかったが、高さ4cm、10cmの供試体については、4日で乾燥させることができた。また、供試体の粒度を測定したところ、粒度は供試体の高さに依らずほとんど同じであった。二年目については、得られた結果を参考に、せん断試験用の供試体を作製し、スレーキングが盛土の力学特性にどのような影響を及ぼすのか調べる。 平成29年度に実施予定であった水~土連成有限変形解析による盛土の地震時安定性の評価と弱点箇所の抽出および、弱点箇所に応じた耐震補強工法の提案について、盛土断面の違いに着目して解析を行った。入力地震動としては、南海トラフ巨大地震を用いることで、盛土に対しすぐにするべき耐震対策について提案する。 解析の結果、傾斜地盤上に建造された高盛土については、地盤と盛土の間、つまり深い部分で大変形を起こすために、表面付近を補強する鉄筋挿入工は、効果が薄く、盛土全体を強化するのり面保護工が効果的であることがわかった。また、高盛土でなければ、鉄筋挿入工も効果的である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定と異なり、供試体を作製する前に、予備実験を行ったため、乾湿繰返し圧密試験機を用いた供試体を作製する方法を検討する段階までしか、初年度では進めることができなかった。しかし、次年度に行う予定であった耐震工の検討に関する地震応答解析を進めることができ、一定の成果を挙げることができたため、概ね予定通りに進展できていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでに行った予備試験の結果を踏まえ,供試体の作製方法の検討を行う。そして、実際の盛土の状態に近い状況下でスレーキングを進行させ、供試体を作製する。スレーキングの進行程度を変えた供試体を数種類用意し、三軸試験を行いスレーキングが盛土の力学特性にどのような影響を及ぼすのか、乾湿繰返し細粒化率試験の結果も絡めて考察していく.得られた三軸試験結果をSYS Cam-clay modelで再現することを試み、再現により得られた結果から、スレーキングが骨格構造に及ぼす影響を調べる。また、先ほどと同様に乾湿繰返し細粒化率試験の結果も絡めて考察していく。 耐震補強工法の提案については、これまで行ってきた解析は、補強工の降伏を考慮していなかったため、降伏を考慮した上で解析を行う。また、現在、南海トラフ巨大地震、つまり、長周期地震に対してのみ検討を行っている。しかし、直下型地震のような短周期地震について検討することも非常に重要である。今後は、短周期地震に対する耐震補強工の検討および、長周期、短周期地震を入力した際に、補強部材の降伏を考慮した上で解析を行っていく。
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