昨年度の予備実験の結果を基に乾湿繰返し圧密試験機を用いた三軸圧縮試験用供試体の作製方法を決定した.高さ20cm、内径10cmの供試体を締め固めて作製し、上載荷重を与えたまま100度の熱風で14日乾燥、その後水没3日間水没させる過程を3回行い、実際の盛土内を想定した供試体を作製した。供試体に対し、三軸圧縮試験試験を実施したところ、乾湿を与えることにより材料が劣化するため、同じ密度で締め固めて、乾湿を与えていない供試体よりも強度が低下した。供試体の粒度を測定したところ、粒度は乾湿回数に依らずほとんど同じであった。拘束圧条件下では、細粒化は進行しないことが明らかとなった。また、粒度が変わらない原因を調べるために、針貫入試験を三軸試験後に実施した。その結果、乾湿を与えた方が、貫入抵抗値が小さくなっている傾向が得られた。つまり、細粒化が進行していないにもかかわらず、強度が低下した原因としては、泥岩の粒自体が軟らかくなったためであると考えられる。 水~土連成有限変形解析による盛土の地震時安定性の評価と弱点箇所の抽出および、弱点箇所に応じた耐震補強工法の提案について、盛土断面の違いに着目して解析を行った。断面の形状により、効果的な補強工法は異なったが、のり面保護工はいずれの形状でも高い耐震性が得られた。H28年度では、材料の降伏を考慮していなかったため、材料の降伏を考慮した上で解析を実施した。材料の降伏を考慮すると、地震中に多くの補強部材が降伏してしまうものの、無対策と比較して、最も変形の小さくなったのり面保護工は変形が30%程度まで抑制できた。
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