研究課題/領域番号 |
16K18150
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
原 弘行 山口大学, 創成科学研究科, 講師 (00588709)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海水 / セメント / 劣化抑制 / カルシウム / マグネシウム |
研究実績の概要 |
セメントや石灰で改良した固化処理土は海水中のマグネシウムを含む塩分の浸透によってカルシウム成分の溶出が促進され,力学的劣化が進行することが示されている.その一方で,海水環境下において白色の析出物が固化処理土を覆うように形成される場合がある.このとき,処理土には劣化の極端な遅延がみられ,析出物が保護膜として機能していると考えられる.本研究は,高度な耐久性予測の基盤となる知見の取得ならびにMg のワクチン効果を利用した簡易な劣化対策技術の開発を目指し,特定の条件下において固化処理土に生じる保護膜の1)劣化保護機能,2)現象および生成条件の解明,3)効果的な生成手法について検討するものである. 平成29年度は固化材にセメントを用いた固化処理土に対してMg水溶液への浸漬実験を実施した.セメント処理土のpHと析出物の生成状況に関連が確認でき,おおよそセメント処理土のpHが12.5以上のときに析出物が生成されることがわかった.また,析出物が生成された場合,カルシウムの溶出ならびにマグネシウムの浸透が抑制されることが示された.さらに,処理土のpHが十分に高くない場合には,析出物の生成量が少なく,それに伴って上記化学成分の溶出・浸透抑制効果も十分には発揮されないことも明らかにされた.析出物によるカルシウムの溶出抑制効果を定量的に検討した結果,析出物が生じた場合,生じない場合の80~90%のカルシウムの溶出を抑制することができることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固化材にセメントを使用した固化処理土に対して,Mg水溶液への浸漬実験を実施した.その結果,析出物の生成にはpHが大きく影響していることが明らかになり,保護膜の生成を判定するパラメータを導出することができた.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,保護膜生成に及ぼす接触する溶液のMg濃度やMg塩の種類の影響を調べ,保護膜生成にかかわる要因を詳細に検討する.さらに,簡易な保護膜造成手法に関する実験を実施する.
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