電気自動車やプラグインハイブリッド車は電気容量の大きな蓄電池を搭載しており、乗り物としての利用だけではなく、動く蓄電池としての使用も提案されている。これらの車両は走行時には蓄電池として利用できないため、蓄電池として有効活用するためには車両の使用予測を行う必要がある。 本研究課題では低炭素社会を実現するため、車の利用予測手法の開発と、エネルギーマネジメントシステム(EMS)による予測手法の評価を行った。平成28年度では、車の利用予測手法の確立と、計算速度の向上について取り組んだ。その結果、膨大な計算量を必要とする問題をリアルタイム(100msec以内)で計算できることを確認した。平成29年度では、この手法を利用したEMS開発と、車の利用予測手法の評価を行った。 車の利用予測手法の検討を行うため、モデル予測制御によるEMSの開発を行い、EMSの数理計画手法の内部に車の予測手法組み込んだ。この予測手法自体が90%程度の精度であったが、ユーザが利益を享受でき、EMSの性能としては十分であることがわかった。また、本研究課題の成果では車の利用時間だけではなく、その移動先までも予測することができるため、自宅や通勤先などの複数のEMS間の連携も可能となった(車がいつ、どこに移動するか予測できるため、その移動先で車両を蓄電池して利用できる)。そのため、本提案手法を利用した複数のEMSの検証を行ったところ、計画が破たんすることなく、車の利用を行えることを検証できた。 本研究課題では、EMSと連携した車の利用予測に焦点を研究を行ったが、車の利用予測は交通流検証やカーシェアリングなど他のアプリケーションと連携できる可能性は十分にあると考えられる。
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