下廃水からのリン除去回収に向け,膜ろ過過程でリン吸着を行う新規分離膜の開発を行った.リン吸着剤である硫酸ジルコニウム界面活性剤ミセルメソ構造体(ZS)をポリスルホンに包含させ,平膜状の限外ろ過膜を作製した.電子顕微鏡観察の結果,ZS粒子は膜表面および断面に存在していた.ZS含有高分子溶液(10.5 wt%)から作製した膜(膜厚100 um)では,リン酸溶液(50 mg P/L)の膜ろ過により0.039 mg P/cm2のリンが吸着された.水酸化ナトリウム溶液でリンを脱着でき、膜の繰り返し利用が可能であった.また,膜を嫌気性膜分離装置からの廃水に適用したところ,実試料からのリン吸着にも成功した.
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