研究実績の概要 |
産業副産物である製鋼スラグを用いて電波のエネルギーを熱エネルギーに変換(電波を吸収)して融雪する「融雪用発熱モルタルブロック」につき、以下のことを明らかにした。 1)製鋼スラグの焼成・酸化促進による電波吸収特性の変化傾向を明らかにした。製鋼スラグは200~1,000℃で焼成することにより、結晶構造が変化し、Fe3O4等の増加によって大きく電波吸収特性が変化すると分かった。また、本研究において焼成した製鋼スラグを混入したセメントモルタルにつき、最適調合及び厚さを見出した。これにより、融雪用発熱モルタルブロックに活用できる製鋼スラグの種類を増やすことができ、産業副産物利用の幅が広まった。 2)製鋼スラグの粒径が電波吸収特性に及ぼす影響を明らかにした。製鋼スラグの粒径が大きくなるほど、電波吸収性能を決定する要素である複素比誘電率の値が大きくなると分かった。また、本研究において用いた粒径の異なる製鋼スラグを混入したセメントモルタルにつき、最適調合及び厚さを見出した。製鋼スラグの焼成と組み合わせて用いることで、さらに融雪用発熱モルタルブロックに活用できる製鋼スラグの種類を増やすことができ、産業副産物利用の幅が広まった。 3)電波発振器から融雪用発熱モルタルブロックに電波を伝送するための電波漏洩導波管につき、スリット厚さ、長さが電波漏洩量に及ぼす影響を明らかにした。 漏洩導波管の延伸方向において電波を均一に漏洩する漏洩導波管の設計を見出した。また、融雪用発熱モルタルブロックが漏洩導波管の電波漏洩量に及ぼす影響を明らかにし、漏洩導波管と融雪用発熱モルタルブロックを50mm程度離して設置することで影響を回避できることを見出した。これにより、漏洩導波管上に設置される融雪用発熱モルタルブロックを均一に加熱できるようになり、融雪用発熱モルタルブロックを用いた融雪システムを設計できるようになった。
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