研究課題/領域番号 |
16K18186
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
三浦 奈々子 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 助教 (80735340)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エレベータ / 振動制御 / ロープスウェイ |
研究実績の概要 |
現在、地震後の避難の際にエレベータを使用することはできないが、高齢化や建物の高層化により、今後必要と考えられる「エレベータを使用した避難」についての学術的知見を深めることは重要である。このため本研究ではエレベータを使用した地震後の避難について検討し、地震直後にエレベータの機能を維持するための「エレベータの地震対策」の立案を目的とする。エレベータ機能の維持のために本研究では緊急地震速報や国内に多く設置された加速度計のネットワークを活用したエレベータロープの振動制御を提案する。また、提案する振動制御は地震時の停電を考慮し、自己給電可能で外部電源を必要としないアクティブ振動制御とする。平成28年度はエレベータロープの振動制御を主に構造面(パッシブ)からアプローチした。 1.エレベータを地震後の避難に利用できない理由の調査・利用可能となる条件の抽出:具体的な要因となる振動箇所や閾値等を文献やヒアリングにより調査した。 2.超高層建物とエレベータの解析モデルの作成:実際の建物やエレベータを用いて実験を行いモデルを構築することは難しいため、既往研究を参考に①で抽出した振動箇所の応答をうまく表すことのできるモデルを選択し、エレベータ用に纏めた。 3.地震動特性とかご位置に対する検討・応答が最小となるかご位置の検討については、かご室が移動するモデルで評価を行った。 4.エレベータの振動対策計画の立案(パッシブの場合)に加えて、アクティブ制御の場合についての検討を行った。なお、制御位置はコンペンシーブとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「3.地震動特性とかご位置に対する検討・応答が最小となるかご位置の検討」について、かご室が最下層から最上層まで移動するときのロープ振動の検討として研究を進めた。検討した周波数帯域は限られたものなので、次年度以降、検討を拡充する予定である。 予定していたロープのモデル化、パッシブダンパーによる応答低減に加え、次年度以降に予定していたアクティブ制御による応答低減についても検討を行った。 また、成果を国内会議で発表した。 検討順に若干の変更を行ったが、おおむね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
エネルギー面の検討を次年度以降に行う予定である。また、平成28年度に行った地震動特性に対する検討のデータを拡充し、データベース(緊急地震速報や国内に多く設置された加速度計のネットワーク)との連携方法について提案をまとめる予定である。 具体的には以下のとおりである。 平成29年度:エレベータロープの振動制御を制御からアプローチする。 ⑤地震動の特性ごとに適切なかご位置を抽出する。⑥対象の物理的制約・エネルギ回生の制約の調査を行う。⑦制御理論の構築を行う。⑧検証解析を行う。⑨エレベータの振動対策計画(パッシブで応答が最小となるかご位置の場合)を纏める。 平成30年度:エレベータロープの振動制御を構造と制御の両面からアプローチする。 ⑩かご位置のパターンを分類する。⑪制御理論の拡張(フェイルセーフ)を行う。⑫検証解析を行う。⑬エレベータの振動対策計画(パッシブで応答が最小となるかご位置以外の場合)を纏める。⑭[総括]超高層建物におけるエレベータを用いた避難計画を纏める。
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