研究課題/領域番号 |
16K18192
|
研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
余川 弘至 中部大学, 工学部, 助教 (20736087)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 液状化 / 戸建て住宅 / 簡易数値解析 |
研究実績の概要 |
粒子法を用いた解析プログラムに,大変形の考慮できる構成式を導入し,これまでに申請者が実施した重力場模型振動台実験を対象に,提案手法および既往の動的有効応力解析手法の2つにより再現解析を行い,精度検証を行った.次年度実施予定の被災状況の再現解析を実施するために,東日本大震災で被災した千葉県浦安市と茨城県神栖市の2地点を調査対象地点に選定し,スウェーデン式サウンディング試験(JIS A 1221),動的コーン貫入試験,サンプリングおよび地下水位調査を実施した. その結果,以下の結論が得られている.①粒子法を用いた場合は,模型振動台実験の結果に比べて沈下量をやや過大評価する可能性がある.②模型振動台実験で生じた住宅周辺の地盤の大変形現象(めり込み沈下)に対して,既往の動的有効応力解析手法では再現が難しかったが,粒子法では再現することができた.③浦安市における東日本大震災時の再現解析を行った結果,実際の被災度を粒子法で概ね再現できた.④簡易地盤調査と簡易数値解析を組み合わせることで,液状化による構造物の沈下や傾斜を推定できる可能性があることが分かった.現時点での粒子法による液状化解析で得られる結果の精度については,実用的に使える範囲にとどまると考えられるが,液状化時に生じると考えられる被害度を「住宅の沈下量(傾斜量)」という定量的な値で表現することができた. これらの研究成果は,日本建築学会構造系論文集,国際会議発表および国内会議発表を含めて4編の論文を投稿した.また中部建設技術フェアでのブース展示を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年に予定していた「解析プログラムの改良」および「地盤調査および被災調査」は予定通り実施することができた.すでに実施している模型振動台実験を用いた再現解析により,解析手法の問題点を抽出することもできている.順調に研究が遂行できているものと考えられる.
|
今後の研究の推進方策 |
申請時の予定と同様に,模型振動台実験の再現解析および検証,被災地区における再現解析を引き続き実施していくことを考えている.本年度の研究を通して提案手法には,いくつかの問題点も明らかとなっている.具体的には,解析における住宅沈下量の予測精度である.住宅沈下量の予測精度が低下する理由として,地下水位の影響が考えられる.この点に関しては,すでに解決を図るための試行的な研究を進めている.
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた地盤調査について,調査に必要となる備品をすべて購入する予定であった.しかし,作業発注を行ったため,調査道具一式の購入費用がかからなくなった.
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究は,数値解析を主に検証を実施していくため,高性能パーソナルコンピュータの購入に充てる.また,模型振動台実験も追加で実施する予定であるため,実験に必要となる消耗品の購入に充てる.
|