戸建て住宅の宅盤調査で一般的に実施されるスウェーデン式サウンディング試験およびそれに付随した低コストで実施可能な地盤調査結果を用いた粒子法による解析プログラムにより,液状化による構造物の沈下や傾斜を精度よく推定することを目的として,平成28年度~平成30年度と研究を実施してきた。 平成29~30年度は,解析プログラムを用いた模型振動台実験の再現解析および検証を行った。平成28年度に実施した地盤調査結果を用いた予測解析の結果と既存ボーリングデータを利用した従来の液状化判定結果および被災状況を比較した。その結果,開発した解析プログラムで得られる住宅の沈下量は,模型振動台実験の結果と比較しても過大であり,さらに実際の被災状況を再現した場合においても過大に評価する結果が得られた。特に茨城県神栖市を対象とした実際の被災状況の再現解析においては,液状化層が傾斜していること,地下水位の変動が大きいこと,住宅重量のわずかな違いが住宅の不同沈下に大きな影響を与えること等,既往の模型振動台実験では考慮していないことが多く,住宅の不同沈下量を完全に再現することができなかった。 これらの課題を解決するために,平成30年度は設計に利用するための十分な解析精度を有しているかの検証を行うとともに,解析プログラムの再現解析を実施する中で適用範囲(限界)や精度検証を実施した。その中で,これまで考慮していなかった地下水位の影響が大きいことがわかり,地下水位を考慮することで,実験結果および実被害状況を精度よく再現することができた。また,解析プログラムの適用範囲を検証するために,地盤の条件パラメータを変えた種々の解析を行い,各パラメータの感度分析を行った。
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