PIV解析において重要なパラメータである検査領域と探査領域に関して、建築分野の流れを対象として体系的に検討された例は少なく、これらのパラメータの設定方法を検討する必要がある。最終年度では、新潟大学所有の可視化用風洞を用いてPIV測定を行い、解析パラメータの最適な設定方法の検討を行った。 検査領域は大きい程、空間内の情報が増加するため誤ベクトルが減少するが、空間分解能が低下し、細かい気流性状の把握が困難になるため、測定対象に応じた適切な解析パラメータの設定が重要である。検査領域は50%オーバーラップするように設定する。探査領域は風洞内の設定風速とキャリブレーション値を基に設定する。検査領域と探査領域を5pixelずつ変化させて計25caseの解析を行った。 今回の実験対象では検査領域が15×15~35×35pixelの範囲で必要な探査領域は、±30×±30pixelであり、それ以上の探査領域であれば平均風速の値に差はみられない。探査領域が±15×±15~±35×±35pixelの範囲で必要な検査領域は、25×25pixelであり、それより小さい検査領域であれば平均風速の値に大きな差はみられない。検査領域が大きくなるにつれてモデル壁面付近では、風速が遅く算出される。以上の結果を基に適切なPIV測定パラメータの設定方法の検討を行った。 期間全体を通して実大室内空間を対象に気流性状のPIV測定を行い、建築分野において従来では測定することが困難であった1m角以上の範囲において時間的・空間的に連続な気流速度分布の測定方法の検討を、主にレーザーライトシートの配置方法とトレーサ供給方法(シーディング)、解析パラメータの設定方法に関して行った。単一の光源では障害物が存在し影が生じるような空間内でも複数のレーザーライトシートを使用することで概ね全ての位置で風速ベクトルを取得する方法を構築した。
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