本研究の目的は、ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)を対象として、建物の省エネルギー性能、輸送技術、コミュニケーション戦略の視点から、将来的な輸出住宅モデルの立案とその展開可能性を検討することである。具体的な研究テーマとして、ZEHの省エネルギー性能、輸送技術、コミュニケーション戦略について横断的かつ包括的に検討し、フィージビリティスタディによって将来的な輸出品目としてのZEHプロトタイプを考案する。 研究テーマは、3つのフェーズに分けて進めた。初年度(平成28年度)はフェーズ1として、国内外のZEHに関する文献を収集した。平成29年度、30年度はフェーズ2として、これまで収集した公開・非公開資料をもとに、輸送に適したZEHの形態と省エネルギー性能の相関について考察し、平成30年度に国際学会で発表した。また、ZEHの国際大会「ソーラー・デカスロン」(アメリカ、UAE)およびイギリスのZEH展示施設の実験住宅をそれぞれ実地調査し、研究者らへのヒアリングをおこなった。また、コミュニケーション戦略の検証として、過去に実施した小学校での出前授業に関する考察を論部としてまとめ、平成31年度に国際学会で発表した。 令和丸年度にフェーズ3としてZEHプロトタイプの基本設計に着手した。その結果、災害時にエネルギーを供給することでコミュニティの拠点となり、世界各地への移動も可能なZEHプロトタイプを考案した。フィージビリティスタディとして、国内外のモバイル建築を扱う団体等に対するヒアリング及び地場工務店、建築士、建材商社、一般ユーザーなどへのグループインタビューを実施し、予備的な検証をおこなった上で、国際学会に投稿した。
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