研究課題/領域番号 |
16K18204
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 純 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任講師 (80584408)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 施設配置論 / 需要推計モデル / 地域包括ケア / 介護保険給付費データ |
研究実績の概要 |
住み慣れた地域で最期まで暮らすためには、その地域の特性に配慮して、必要な介護サービスや生活支援サービスを見積もり、必要とされる介護や各種支援の拠点を整備することが不可欠である。本研究は、秋田県秋田市、福井県坂井地区をフィールドに、現況データと生活機能評価をあわせた統合型需要推計モデルを開発し、これに基づいて各種介護・生活支援サービス需要を推計する。また上記自治体の関係者らと介護サービス・生活支援施設・拠点整備の原単位を明らかにする。そして具体的な日常生活圏においてサービス毎に必要となる施設・拠点の必要戸数・面積を割り出し、これら施設の具体的な整備方法も明らかにする。本研究は地域包括ケアシステムにかかる拠点整備手法論の構築を目指すことを目的とする。 福井県坂井地区では、要介護認定者(とその家族)の生活や介護、医療サービスの利用とあわせ、住まいや生活支援も含めた居住ニーズの原単位を考えるべく、各種調査・分析を行った。まず坂井地区広域連合の介護保険サービスデータ・住民基本台帳結合データを用い、介護保険サービス利用の状況や背景要因の分析した。クロス集計・分析、調査結果と介護保険データの結合による総合的な分析を行った。また、介護保険施設等入所申込調査も行い、介護保険施設等入所申込調査を実施するにあたり、住まいや家族介護の現状と課題等に関する項目も加えて調査を行い、施設ニーズの背景要因を探った。質問調査で坂井地区における居宅支援事業所(40事業所204人)、坂井地区における施設・居住系事業所(35事業所805人)を対象とした。 秋田県秋田市では、介護保険給費データの取得に手続き上の時間がかっており、具体的なニーズを把握するために、18ヶ所に民間委託している地域包括支援センターによる地域診断分析を実施し、その結果を分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
福井県坂井地区は、持ち家率が高く、他方で介護施設も多いため、要介護度が低い間はデイサービスを日中独居対策として用い、重度になると施設入所するというパタンがわかってきた。介護サービスとてリハビリ等の通所介護ニーズを正面から受け取るよりも、日中独居対策としての居場所施設の整備を検討する必要がある。 具体的には、まず介護保険サービスの平成21年度~平成27年度の利用実績(見込み)によれば、8つの居宅サービスの中では通所介護の利用が最も多く月平均件数は1,869件であった。同様に福祉用具貸与の利用も多くまた増加しており、平成26年度の月平均件数は1,518件だった。以上のことから坂井地区では通所系サービスと福祉用具の利用が活発であることが分かる。同様に施設サービスの利用をみると、介護老人福祉施設の利用が最も多く月平均件数は523件であった。施設サービスの利用は今後も横ばいの見通しであるが、直近のデータによれば利用件数の伸びが指摘でき、その精査が必要となっている。 それはで施設に入所した方はどのような状況で入居したのであろうか。施設入居者の上京として、まず「主たる介護者が就労中」が35.7%で最も多い。次いで「主たる介護者が高齢者・障害者または疾病があり療養中」で19.2%となっている。また要介護度別にみた申込施設種別は、「特別養護老人ホーム」が軽度から高度まで割合が高い。要支援1は6割、要支援2は7割と軽度の高さも目立つ。要介護度別にみた主たる介護者の状況は、要介護1の「主たる介護者が就労中」が66.7%で最も多いことがわかった。 在宅で望めば最期まで住み続けるために、どのような条件が整えばよいのかについて、分析を行っており、統合型需要推計モデルについて検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き、福井県坂井地区、秋田県秋田市において介護保険給付費データ分析等を行い、統合型需要推計モデルを開発して、各種介護・生活支援サービスのニーズを推計する。秋田市での給費データ取得に時間がかかっているが、次年度早めに取得を行いたい。一通りモデルができたところで、介護サービス・生活支援施設・拠点整備の原単位を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
秋田県秋田市の介護保険給費データの取得が遅れたため、データ購入費、解析のための単純労務謝金が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、秋田県秋田市の介護保険給費データが取得をして、使用する。
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