研究課題/領域番号 |
16K18210
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
宋 俊煥 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (00725244)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 都市計画 / 都市再生 / コンパクトシティ / スマートシュリンキング / エリアマネジメント / 都市再生整備計画 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、大きく3つの研究を行った。 一つ目は、コンパクトシティ政策の一環として行っている「都市再生整備計画」の傾向や特性を明らかにするために、「都市再生整備計画」に基づき事業を実施・終了した全国1,295地区を対象に類型化を行った。その結果、「1軸:観光・賑わい指向」・「2軸:都市規模」・「3軸:駅周辺商業地・利便性指向」・「4軸:人口誘導(量)指向」の4つの特性軸が明らかとなり、それを基にA.小都市商業地・賑わい中心型(134)、B.賑わい・人口誘導型(159)、C.防災ハード整備・人口誘導型(191)、D.駅周辺利便性・人口誘導型(123)、E.大都市・安全ハード指向型(105)、F.住宅地・防災ハード整備型(170)、G.駅周辺利便性・満足度重視型(135)、H.質重視・景観賑わい(観光)型(130)、I.ハード整備・満足度重視型(148)の9つに分類することができた。上記の成果を学会で公表した。 二つ目は、開発したスマートシュリンキングモデルを基に、千葉県柏市の4つの住宅団地を対象にシミュレーションを行い都市空間のイメージを提示すると共に、モデルの検証を行った。その結果、①人口の減少率は、鉄道駅とスマートシュリンキングユニットとの距離に大きく左右されること、人口減少の進行につれて②高層マンション等住宅密度が高いほど、周辺の空き地集約街区が増加することが明らかとなった。また、③土地利用の決定のための自主的な地域組織の必要性、④空き地集約プロセスの重要性を提示した。上記の成果を国際学会で発表した。 三つ目は、人口減少に伴い必要とされる自主的な地域組織の役割と課題を明らかにするため、中山間地域である山口県美祢市の13公民館を対象に変遷から見た公民館エリアの有効性を検証すると共に、公民館施設の利用・運営実態を明らかにし課題を整理した。上記の結果の一部を学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンパクトシティ政策の一環として行政計画の現状と実態を明らかにするために、全国の1,295地区の都市再生整備計画を網羅的に整理・分析し、全国的な傾向と特徴が整理できた。また、開発したスマートシュリンキングモデルを柏市の4つの住宅団地に適用し、モデルの有効性を検証すると共に、都市空間像をシミュレーションすることで、今後人口減少に伴い、地域特性に合わせ、どのような課題があるのかを整理することができた。それを踏まえ、地域の自主的な組織としての公民館の今後の役割を明らかにするために、中山間地域である山口県美祢市を対象に基礎調査を行った。上記の研究成果を踏まえ、2年目として順調に研究が進行できたと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、大きく2つの研究を進める。 一つ目は、スマートシュリンキングモデルにより発生する空き地量に対し、、①現状のままでモザイク状の空閑地になっていくケースと、②開発したモデルによるケースに分け、自然地へ回帰するための工事費用負担とインフラの維持・更新コストの増減の費用便益分析を実施し、比較による社会コストの削減効果を明らかにする。対象地は山口県宇部市を想定する。 二つ目、スマートシュリンキングモデルによる「空き地集約プロセス」から発生する緑地・自然地等を地域で自主的に管理・運営する方法を提示するために、現在全国の公園等を対象に公園管理体制及び利活用体制を網羅的に分析し、地域主体による有効な公園・緑地のマネジメント手法を明らかにするために現地調査・アンケート調査等を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度を行う予定であった国外の現地調査が旅程予定期間が学内業務や他の研究調査期間と重なり、実施できなかったため、国外調査の旅費が残されている。 平成30年度には、スマートシュリンキングを実施している海外の現地調査を実施する予定である。
|