研究課題/領域番号 |
16K18216
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
山田 大樹 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, アソシエイトフェロー (20727648)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イラン / エスファハーン / 歴史的都市景観 / 世界遺産 / バッファーゾーン |
研究実績の概要 |
近年、イランの歴史的都市では、多くの都市再開発プロジェクトが都市中心部で進められており、その歴史的地区の姿は大きく変容しつつある。しかしながら、このようなイランにおける再開発の状況についての報告は少なく、特に公開されている学術的な検証は未だ少ない。本研究は、今変容しつつあるイランの歴史的都市景観を適切に制御するため、文化遺産としての「真正性」および「住民意向」を尊重した歴史的市街区における都市再興プロジェクトのあり方を検討し、おもに世界遺産バッファゾーン内の歴史的都市景観を継承するための計画指標を考察することを目的としている。
本年度は、まず研究の基盤を整えるため、基礎資料の翻訳や現地調査を通して研究に必要な情報を得るとともに、現地の研究者や行政関係者などのリソースパーソンとの関係を構築し、調査対象地における調査体制を整えた。現地調査としては、まず主調査対象地区である歴史的都市エスファハーンの世界遺産マスジャデ ジャーメ周辺における再開発地区の概観調査を実施し、エスファハーン大学の学生を伴って今後の調査範囲及び調査項目を検討するための簡易インタビューを実施した。また、エスファハーンとの比較事例となりうるイランの歴史的都市タブリーズおよびマシュハドの歴史的地区(及び再開発地区)を訪問し、関係者と議論すると共に、各歴史的都市景観の保全体制や課題についての情報を得た。また、本研究と当該研究のテーマに関しては積極的に国内およびイランにおける研究会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を1名で実施しており、また研究開始1年目ということから実質的な現地調査の実施には至っていない。一方で、研究対象地であるエスファハーンにおいて現地関係機関(文化遺産手工芸観光庁エスファハーン支部、エスファハーン大学 他)より研究調査について支援を得るなど、十分な調査の体制が整えることができたことから、概ね順調に進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までのイラン歴史都市の概況調査と収集した基礎資料を元に、エスファハーンにて本格的な現地調査を進める。具体的には調査対象地区の商店主の意向調査シートを用い、またエスファハーン大学の学生の協力を得てインタビュー調査を進めていく予定である。調査結果は早期に英訳し、現地の関係機関と共有して研究を発展させたい。また、イランの歴史的都市における開発の比較調査については昨年度同様に引き続き進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通りだが、当初、購入を予定していた機材(ノートパソコン)を購入せず、現地調査の充実を優先させた。特に無理して全てを年度内に使い切る必要もないため、次年度に回すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度購入できなかった機材の購入に当てる予定である。
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