研究課題/領域番号 |
16K18216
|
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
山田 大樹 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, アソシエイトフェロー (20727648)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 歴史都市景観 / イラン / エスファハーン / 歴史地区再生計画 |
研究実績の概要 |
3年計画の第 2 年次にあたる本年度は、第1年次に得た情報を基に、 ①4月20日から26日にかけ、エスファハーンにて、再開発前後におけるアティーク広場周辺の店主の評価の変化を明らかにするため、店主へのインタビュー調査を実施し、計画実施側と使用者である店主との間での計画に対する評価の差が実証できた。この調査結果は、今後の歴史都市地区における計画指標に寄与できうるものである。なお、この成果の一部は17年10月にサマラ技術大学(ロシア)にて発表した。 ②8月25日から27日にかけ、エスファハーンの前の首都であるカズヴィン、UNESCO世界遺産暫定リストに記載されているマーソレー歴史集落等に訪問し、イラン文化遺産・手工芸・観光庁(以下ICHHTO)カズヴィン支局職員セイナリー氏、ICHHTOラシュト支局ハシミ氏、マースレー現地事務所長のプールアリ氏他の案内を受け、当該歴史地区の保全に関する情報を得た。この調査で得られた情報はICHHTO本部からの要請に従ってレポートしてまとめ、さらに日本の歴史地区の保全状況と比較しながら提言も加え、17年9月にICHHTO本部へ提出した。なお、得られたデータについては翻訳等を行いながら継続して解読を進めている。 ③日本建築学会および日本建築文化保存協会主催「日本イラン建築・都市会議」の枠組みの中で、18年3月5日に実施されたシンポジウム『変容する「都」<4+2> ~古代ペルシャから現代東京まで~』の中でキュレーターを務め、イラン歴史都市からの行政関係者、文化遺産保護実務者、学術専門家を招聘し、歴史都市の変遷および文化遺産の保全に関するシンポジウムを建築会館ホールにて開催した。併せて3月4日から20日にかけて 同建物内ギャラリーにて展覧会を開催し、同テーマに関するパネルや模型を展示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定通りエスファハーンにおける現地調査がすすんだことに加え、2017年8月中旬イラン北部における歴史的集落および都市の現地調査については"Observation Report on Qazvin, Rasht, and Masuleh"として、調査内容およびイラン側への提言をレポートにまとめ、イラン文化遺産・手工芸・観光庁に提出するなど、現地機関との良好な関係を築くことができた。さらに、本研究と連携し、イランと日本の歴史的都市の変遷とその将来像について政策面および都市計画論から議論する、日本建築学会および建築保存協会主催の「日本イラン建築・都市会議:変容する「都」<4+2> ~古代ペルシャから現代東京まで~」と題する展覧会およびシンポジウムをキュレーターおよびモデレーターとして企画運営するなど、本研究の成果を広く還元することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで得た研究データの検証をさらに押し進めるとともに、収集したデータの翻訳や分析を行い、論文にまとめる。また、研究成果を広く現地に還元できるように研究成果をまとめた英文報告書を作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通り使用したが、次年度の調査に備え、不必要な支出は控えたため。
|