本研究は、主要研究対象をイランの古都エスファハーンの世界遺産マスジェデ・ジャーメの周辺地区の再興計画に定め、現地機関との協力を得て計画実施の背景を整理した上で、世界文化遺産としての「真正性」が十分に担保されなかったこと、「住民意向」が反映されずに計画が進んでいることを明らかにした。現地調査においては、計画対象街区内の店主へのインタビュー調査を実施し、計画実施側(行政)と使用者である店主との間での計画に対する評価の差を明らかにした。さらに、計画実施前後における店主の周辺環境への評価の変化を調査し、住民意向を取り入れることにより再興計画の改善が可能であることを示した。
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