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2018年度は、階段における避難群集の流動と消防隊による消防活動の相互影響を把握する群集避難実験の結果について、詳細に分析した。分析により、実験条件毎に階段内における避難群集の流動量の変化について定量的に違いを把握し、消防隊の歩行速度と合わせ、避難群集の移動方法と合流の有無、消防隊の活動内容によって、消防隊の活動効率と在館者の避難効率に違いが生じることが明らかとなった。加えて、消防機関に対する聞き取り調査により得られた、高層建築物避難時の混雑状況下における消防隊の移動方法に関する想定および対策の回答内容について、分析を行った。地震火災時の非常用エレベーターの使用の有無と対策ならびに避難者で混雑する階段における活動の可否と活動方法等について、消防機関における現状を把握した。この実態把握により、消防機関によって活動方針にばらつきがあるほか、必ずしも具体的な活動方法の想定や明確な基準を有していないことが明らかになった。なお、調査対象および実験想定が一部にとどまったことから、今後さらなる調査・検証が必要であると考えられる。
本研究では、大規模施設の混雑状況下で生じる消防活動と避難行動の相互影響について、現状の避難計画と消防活動計画では想定していない現状を把握するとともに、上記相互影響と計画に反映しうる定量的指標について検討した。避難者による混雑状況下での消防活動について、一部消防機関から具体的な方法についての回答も得られたが、消防機関毎の明確な基準や方法ならびに機関同士の統一性は見られなかった。この結果に基づき群集避難実験を行い、消防隊と避難群集の相互影響を把握した。
このように、多数の在館者が存在する大規模建築物において、避難者による混雑状況下で消防活動を行う際の消防活動と避難行動の相互影響を考慮した避難安全性評価手法を、避難安全と消防活動効率の観点から検討した。
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