研究課題
若手研究(B)
本研究では、中国と日本の伝統大工道具の調査を通して、古建築の造営技術を追求することを目指し、大工道具の現地調査と大工の聞き取り調査を中心におこなった。2016年からは、中国南部において調査を開始し、特定の大工道具について中国北部との相異を見出し、中国国内における比較研究を見通すことができた。また現地調査の継続的な実施により、文献に対する理解を深め、中国宋代(960-1279)の建築造営における屋根修理、主要構造材の柱の修理、梁材の規格、製材工程などについて、論考を継続的に公表した。
建築学、建築史・意匠
古建築を造り上げた道具の変遷は施工技術の発展を示している。大工道具の機械化・電動化とともに伝統的な技術が消滅しつつある現状のなか、大工道具に関する記録と研究は、極めて急務である。大工道具の変遷や地域性を明らかすることができれば、中国国内の北部と南部においても、東アジアの木造建築文化圏に共存する中国と日本においても、木造建築の造営技術における相違の解明にもつながり、大きな手助けとなる。