研究課題/領域番号 |
16K18238
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
片宗 優貴 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 特任助教 (50772662)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / リンドーピング / 接触抵抗 / 熱フィラメントCVD / ナノダイヤモンド |
研究実績の概要 |
ダイヤモンドは,電力変換用デバイスの大電力・低損失化のための次々世代のパワー半導体材料として期待されている.ダイヤモンド半導体のデバイス化の課題のひとつにOhmic接触の形成がある。半導体と金属の接触界面の空乏化により寄生抵抗が生じるため理想的なOhmic 接触の形成は難しい。ダイヤモンドではその影響が顕著であり,特にn 型の接触抵抗は依然として高く,さらなる低減が必要となっている. 本研究では,ダイヤモンド半導体のOhmic 接触形成に向けて,金属-ダイヤモンド間に導電性超ナノ微結晶ダイヤモンド/アモルファスカーボン混相(UNCD/a-C) 膜を挿入することで接触抵抗の低減を目指す.UNCD/a-C は不純物添加による伝導型制御,高濃度ドーピングや構造制御により半金属的な導電性の付与が可能であり,接触抵抗低減のための金属-ダイヤモンド間のバッファ層として期待できる. 1年目にあたる平成28年度は,(i) 危険性の低い有機リン溶液原料を用いたリンドープダイヤモンドの合成,(ii) UNCD/a-Cと金属との接触抵抗の評価に取り組んだ.(i)のリンドープダイヤモンド合成について,まず不純物原料の選定および原料供給システムを独自に構築した.溶液の蒸気圧を適切に制御することで供給量の制御を行い,リンを含む多結晶ダイヤモンドを得ることができた.キャリア濃度や移動度等の半導体特性について現在調査中であり,ダイヤモンド中のリン不純物の活性化が確認でき次第,単結晶基板上でのn型ダイヤモンドのエピタキシャル成長に着手する.(ii)のUNCD/a-Cの接触抵抗評価について,円形-伝送長(c-TLM)法により評価した結果,接触抵抗は膜抵抗に埋もれ正確な見積もりは困難であることがわかった.これは金属とUNCD/a-C間の寄生抵抗が低いことを示唆しており,今後は電極形状の微細化を行い膜抵抗の寄与の低減を図り,接触抵抗の正確な見積もりを行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不純物原料の供給ラインの導入等の装置改造に少々時間を要したが,本研究で基盤となるリンドープダイヤモンド合成を達成でき,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
前年度で得られた知見を基に,次年度は接触抵抗評価に向けてリンドープダイヤモンドの結晶成長と半導体物性制御に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入にあたる発注業者の検討等により経費削減ができ,当初予定していた予算額よりも低く抑えることができたため.
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次年度使用額の使用計画 |
実験で使用する装置周りの消耗品が交換の時期を迎えているため,年度を超えてから消耗品の交換費用に当てる.
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