研究課題
本研究では、癌の新しい治療法として提案されている『誘導焼灼治療』に応用するため、交流磁場中で自己発熱するガーネット系フェライト磁性材料の開発、およびその発熱メカニズムの解明について研究を行なった。これまでの研究から、ガーネット系フェライト材料は化学的合成法と物理的粉砕法で発熱能力が大きく変化することが分かっている。そこで本研究では、逆共沈法およびデカンテーション法によるpH制御に着目しフェライトの合成を行なったところ、pH=8.0付近まで純水洗浄およびデカンテーションを繰り返し調整したガーネットフェライトが、交流磁場中で特に優れた発熱能力を有することを発見した。さらに、錯体重合法によりY3Fe5O12系材料の合成を行ない、金属硝酸塩と有機添加物の原料比であるCA/MN比を変化させたところ、CA/MN=2.0で作製したY3Fe5O12はこれまでで最大の発熱能力を有することを明らかにした。そこで、この優れた発熱を示すメカニズムを明らかにするため、ヒステリシス損失、渦電流損失、ネール緩和、ブラウン緩和についてそれぞれ測定を行なったところ、これらのいずれの因子にも依存しておらず全く異なる別の要因で発熱能力が向上したと考えられる。さらに、これらの高発熱フェライト材料についてビーズミル粉砕を行なったところ、0.1mmΦのビーズにより4時間の粉砕を行なうことで約数10nm程度まで微粒子化を行なうことに成功した。そこで、今後はこれらの材料についてリポソームへの包埋処理と生体内での発熱試験を繰り返すことで、誘導焼灼治療の実用化を目指す。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 7件)
Journal of Molecular Structure
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