研究課題
Mgは次世代の金属材料として期待されているが,腐食しやすく燃え易い.これを克服するために,当研究グループは,これまでに,Mg(マグネシウム)合金表面への防食膜生成技術「蒸気コーティング法」を開発してきた.本研究では,(1)蒸気コーティング法による難燃性Mg合金上への耐食性皮膜の形成技術の開発,(2)難燃性Mg合金上に形成させた皮膜の形成メカニズムの解明,(3)実環境を想定した腐食環境下における蒸気コーティング法の有用性の評価,の3項目に関する研究開発を行った.研究項目(1), (2)の成果として,まず,蒸気コーティング法は,難燃性Mg合金に対しても耐食性を向上させる効果をもたらすことがわかった.また,耐食性皮膜の形成メカニズムを,以下の通りに明らかにした.成膜処理の初期段階で,基板表面の酸化皮膜成分MgO(酸化マグネシウム)と水が反応してMg(OH)2 が生成され,これを核として皮膜が成長する.Mg-Al系LDHは,皮膜の主成分 Mg(OH)2 が形成される過程で,合金中に存在するAlが,皮膜の主成分 Mg(OH)2 の一部のMgと置換することでLDHの基層となり,さらに,層間にアニオンが納まることで形成される.さらに,残ったAlが水と反応してAlO(OH)が形成される.研究項目(3)では,長期間,腐食性溶液中に,皮膜を有する難燃性Mg合金基板を浸漬させた.その結果,皮膜成分Mg(OH)2と腐食促進イオンとの反応によって,Mg-Al系LDHが追加生成された.つまり,腐食促進イオンは,Mg合金基材とはほとんど反応せず,先に皮膜成分と反応する.また,追加生成された物質も耐食性を有するため,蒸気コーティング法によって難燃性Mg合金上に形成される皮膜が,高い耐食性を有することが明らかとなった.
すべて 2017
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