本研究ではZn,Si,Ni等の様々な固溶原子を固溶限近傍までCuに添加し,巨大ひずみ加工を行った際の力学的性質と組織の変化を,固溶原子濃度や価電子濃度,そして積層欠陥エネルギー(SFE)等の因子に着目しながら系統的に調査した.ナノ組織Cu-Zn,Cu-Si合金の場合,強度の上昇は主としてSFEによって支配されることが明らかになった.一方,固溶原子の添加によってSFEの変化が生じないナノ組織Cu-Ni合金における強化は,転位のピン止め効果による巨大ひずみ加工中の回復の抑制に起因するものであると結論付けられた.
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