研究課題
地球温暖化防止の観点から発電所や輸送機における燃費の改善が求められている。この解決策として現在使用されているNi基超合金やTiAl金属間化合物よりもより高温での使用が可能な次世代耐熱合金の開発が挙げられる。この候補材として2000°Cを超える融点を有する遷移金属ダイシリサイドが注目を集めており、国内外で盛んに研究がなされている。こうした背景の下、本研究は我々の研究グループが見出した室温靭性値4.0mPa1/2を有するB添加高靭性C40/C11b複相シリサイド結晶の高温クリープ特性の支配因子を解明し、複相シリサイド結晶の高靭性化と高クリープ強度の両立に向けた組織制御の方策と設計指針の構築を目的としている。この目的遂行のため、(1)方位制御複相シリサイド結晶中に形成する層状組織のマトリックスC40相と析出C11b相の結晶幾何学関係の解明、(2)層状組織の組織形態と熱的安定性、(3)クリープ特性の温度・方位・応力依存性ならびに支配因子の解明、(4)クリープ変形に寄与する活動転位の同定を行う。これら(1)~(4)の結果より本来Brittle相であるC11b相とC40相の遷移金属シリサイドそのものが有するintrinsicな変形異方性に加えて、層状組織における結晶幾何学から生ずるextrinsicな変形異方性を巧みに制御することで、単相では得られない室温靭性値、高温強度、高温クリープ特性を具備した次世代の高温構造材料としての複相シリサイド結晶を開発する。最終実施年度である本年度はB添加高靭性C40/C11b複層シリサイドとこれまでに報告されているシリサイド結晶のクリープ特性とその異方性を比較および議論することで、シリサイド結晶への革新的な高靭性化と高クリープ強度を具備させる指針を提案した。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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