本研究では,菱面体ドメインによる双晶酸化物(La,Sr)CoO3の磁歪の結晶方位依存性を調べた.擬立方晶[111]c軸と[110]c軸に沿って印加された磁場による磁歪は,大きなヒステリシスと残留歪みを示した.一方,[001]c軸に沿って印加された磁場による磁歪は,ヒステリシスおよび残留ひずみを示さなかった.ほぼ単一ドメインの試料を用いた磁化測定により,異方性エネルギーは-0.12 MJ/m3と求まった.強磁性記憶合金Ni2MnGaの0.2 MJ/m3と同じオーダーであることが確認できた.一軸磁気異方性の菱面体ドメイン双晶構造により,磁歪の結晶配向依存性を説明することが確認できた.
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