高強度・高延性Mg-Gd-Y基合金の開発を目的として、Mg-Gd-Y基合金押出し材の組織や機械的性質に及ぼすAlおよびZn添加の影響を調べた。 Alの添加は、押出し加工時の再結晶を促進することがわかった。Al添加量の増加に伴い、押出し材の再結晶率も増加するため、延性は向上した。Mg-8Gd-4Y-0.5Zn(wt.%)合金に1%のAlを添加することで、破断伸びは9%から17%まで増加した。一方、Al添加量の増加に伴い、強度特性は低下した。押出し材の結晶粒径は、Alの添加量に関係なく2μm程度であることから、Mg-Gd-Y基合金押出し材の高強度化には、未再結晶粒が必要であることがわかった。 また、Mg-Gd-Y基合金押出し材の高強度化には、Znの添加が必須であることも見出した。Mg-8Gd-4Y-1Al(wt.%)合金押出し材の組織や機械的性質に及ぼすZn添加の影響を調べたところ、Znを添加した場合には結晶粒径が2μmまで微細化し、押出し材の引張強さと0.2%耐力は、それぞれ382MPaおよび320MPaであった。一方、Zn未添加の押出し材の結晶粒径は10μmであり、引張強さと0.2%耐力は、それぞれ341MPaおよび270MPaまで低下した。 以上の通り、Mg-Gd-Y基合金押出し材の組織および機械的性質に及ぼす合金元素や添加量の影響を調べ、押出し材の高強度・高延性化に必要な組織因子を抽出した。 さらに、透過型電子顕微鏡やDigital Image Correlationを駆使して、変形途中の詳細な組織変化も調べ、押出し材の高強度・高延性化メカニズムも解明した。
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