炭素鋼はアルカリ性環境中で不働態皮膜を形成し腐食を抑制(不働態化)するため、当初は微生物の代謝を利用して環境をアルカリ化することを考えた。しかし、その効果は期待していたものよりも小さかったため、環境をアルカリ化させるものとして固溶窒素に着目した。また、窒素と同様に侵入型でFe合金中に固溶する炭素にも着目し、鉄鋼材料の耐食性に及ぼす固溶窒素・固溶炭素の影響に関して研究を行った。その結果、固溶窒素・固溶炭素ともに、Crを含まないFe合金の溶解速度を抑制し耐食性を向上させることを明らかにした。さらに、Fe合金の溶解速度に及ぼすこれら固溶元素の影響について、材料側と環境側に着目して解析を行った。
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