研究課題/領域番号 |
16K18274
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 泰洋 東北大学, 工学研究科, 助教 (50621033)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 噴霧塗装 / 自由表面解析 / VOF法 / 液滴 / 衝突 |
研究実績の概要 |
高速回転ベルカップ噴霧塗装機を用いた噴霧塗装において塗料がターゲットに付着する塗着プロセスにおける移動現象の理論的な解明を試みるため,本年度では,既存のシミュレーション手法の高度化を実施するともに噴霧粒子の単一液滴の衝突解析を行った.本研究では,塗料の液滴の衝突に着目しており,液体と気体の界面である自由表表面が大きく変化する系が対象である.しかしながら,これまで行ってきたVOF法解析では,比較的穏やかな自由表面の変形を対象としており,衝突を扱うためには高精度のスキームが必要である.これまでsmoothed VOF functionを用いた解析を行ってきたが,本年度では高精度に自由表面を捉えるためにsimple-CLSVOFによる解析を可能とした.また,低負荷計算を実行するため,高速なソルバーとしてAGMGおよびAMGSの導入を検討した.また,並列計算を導入し,東北大学サイバーサイエンスセンター所有の並列計算機により並列計算が可能であることを確認した.また,高速化されたVOF法解析を用いて単一液滴の壁面への衝突を対象とした数値解析を行った.液滴の衝突角度を変化させた解析を行うことにより,接触角一定の条件では,液膜の衝突初期における液膜の広がりには壁面に対して垂直な方向の速度が影響を及ぼし,衝突時の水平方向の速度は液膜の径の大きさには影響を及ぼさないことが示唆された.一定時間経過すると衝突よる液膜の広がる速度が小さくなり,液滴の形状を残した液が水平方向に移動することにより径が大きくなり,衝突角度の減少(衝突時の水平方向の速度の増加)に伴い液膜の広がりが大きくなることを示した.以上より,液滴の壁面への衝突について,液の瞬時の速度や形状を把握することにより液の動的挙動を評価可能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで自由表面流動解析に用いてきたVOF法解析の高度化を行い,高精度に自由表面を捉えることが可能なsimple-CLSVOF法の導入を行った.また,高速なソルバーの導入を行うとともに並列計算を導入した.これらのことから,これまでの解析方法よりも高精度でかつ低負荷計算が可能となった.また,液滴の付着を模擬した単一液滴の壁面への衝突の解析を行い,既往の実験と比較し,その挙動が良好に一致することを確認した.そのため,本研究における解析手法の妥当性が確認された.さらに,いくつかの数値実験を行い,液の動的挙動を評価可能であることを示した.その際,計算格子を変えた場合に,解析結果が異なることが示され,より大規模な計算が必要であることを懸念された.そのため,大規模計算が可能な東北大学サイバーサイエンスセンター所有の並列計算機を利用し,VOF法解析を行い,その実行性を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
単一の液滴を対象とした解析をさらに発展させ,複数の液滴を対象とした解析を実施する.また,これまでの単一の液滴を対象とした解析では固体壁に付着した状態を初期条件として解析を実施しており,これに気流の影響を考慮した解析を行う.さら,これまでの解析では皮膜が形成されていない条件であり,実際の塗装プロセスでは,塗膜の上に新たに液滴が付着する現象が生じる.そのため,形成された皮膜に対する液滴の挙動を解析する.これに加えて,塗料の特性を反映した数値解析を行い,さらにVOF法解析の高度化を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
東北大学サイバーサイエンスセンター所有の大型計算機を利用した際,3月分の請求が4月以降に請求されることになったため
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次年度使用額の使用計画 |
東北大学サイバーサイエンスセンター所有の大型計算機の利用請求分を支払うとともにワークステーションの購入費,文献調査および成果発表などの旅費に使用する.
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