研究課題/領域番号 |
16K18277
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
町田 洋 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (60589422)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 相分離 / ガス吸収 / 吸収速度 |
研究実績の概要 |
CO2吸収時に2液相に分離する吸収剤に関する吸収速度の研究を行った。本吸収剤はアミン、水、エーテルを混合しており、CO2吸収時にアミンとCO2が結合したカルバメートが第二液相を形成する。平衡試験の結果より、CO2分離回収エネルギーを大幅に削減できることが想定されていた。吸収速度を評価することで設備の大きさの検討に向けた情報を得ることを目的とした。 当初の計画では平面攪拌槽での実験を予定していたが、より実際に近い小型の充填塔での吸収速度評価を行った。また、速度比較としてCO2吸収時に均一相から2液相に分離する相分離型、CO2吸収前より分離している不均一型、CO2吸収前後で均一相を維持する均一型の3種に関して吸収速度試験を行い、比較を行った。温度は40℃、導入ガスのCO2分圧は0.2気圧とした。 初期CO2吸収量0からの吸収速度評価では、相分離型吸収剤と不均一型が同等の吸収速度であったが、均一型は30%程度吸収速度が落ちることが分かった。また、相分離型は相分離前後で吸収速度が大きく変化し、相分離後に吸収速度が向上するすることが分かった。吸収再生循環運転を想定した再生後のCO2溶解量を考慮した試験では相分離液は従来のMEA溶液より吸収速度が速く、循環する吸収液量30%減、塔高さ10%減が可能であることが分かった。 得られた吸収速度の結果を総括物質移動係数により吸収速度をモデル化した。相分離液は相分離前後で異なる2つの総括物質移動係数を設定することで実験点と良好な一致を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
吸収速度の評価方法が平面攪拌槽から小型充填塔に切り替わったが、相分離型CO2吸収剤のCO2吸収速度の評価を実施した。相分離前後で吸収速度が多きく変化する相分離液独自の現象を把握し、モデルでの構築を行った。 相分離型CO2吸収剤は従来法MEA吸収液より循環液量や塔高さの削減が見込めることが分かり、実用性の高い技術であることも確認されたため、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は温度の依存性の調査、プロセスシミュレータへの組み込みを行う予定である。また、粘度など他の物性データと比較し、吸収速度の支配因子の特定、高吸収速度を達成可能な吸収剤の開発を行う。プロセスシミュレータとの連携を行い、プロセスの最適化につなげる。
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