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2016 年度 実施状況報告書

有機溶媒含有廃水を対象とした正浸透膜分離法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K18280
研究機関山口大学

研究代表者

安川 政宏  山口大学, 創成科学研究科, 助教 (20647309)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード正浸透 / 正浸透膜 / 非溶媒誘起相分離 / 界面重合 / 有機溶媒耐性
研究実績の概要

非溶媒誘起相分離法により作製したポリケトン多孔膜を支持層とし、支持層上に芳香族ポリアミド薄膜の活性層を界面重合により作製した。得られたTFC型の複合膜の有機溶媒耐性を確認するため、市販の正浸透(FO)膜と同様の膜材質である市販の逆浸透(RO)膜と共に様々な有機溶媒中に浸漬させた結果、市販膜では特に支持層が一部の有機溶媒中で溶解してしまったのに対して、今回作製したFO膜はNMP・DMSO・DMF・DMAc・Ac・AN・THF・MeOH・EtOH・2-PrOHなどの様々な有機溶媒中で支持層であるポリケトン多孔膜が溶解や膨潤することなく形状・寸法を維持できることを確認し、支持層の細孔径についても変化がないことを確認できた。また活性層である架橋芳香族ポリアミド膜についてもこれらの有機溶媒に溶解しないことを確認できたことから、作製したFO膜は市販FO膜とは異なり、有機溶媒耐性を有していることがわかった。
また、有機溶媒耐性を有するFO膜を介した物質移動についても詳細に検討を行った。有機溶媒種類を非プロトン性極性有機溶媒・プロトン性極性有機溶媒・非プロトン性非極性有機溶媒などに変更し、作製したFO膜をあらかじめそれぞれの有機溶媒(有機溶媒濃度100%)中に浸漬させた後に水・塩および有機溶媒の物質移動を調査した結果、浸漬させた有機溶媒の種類によって、活性層の性能が変化することが明らかとなり、これらの有機溶媒種類がFO膜の活性層に与える影響について体系化を行うことができ、対象とする有機溶媒の種類を検討する上で重要な知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

有機溶媒中で使用可能な正浸透(FO)膜の開発に成功するとともに、様々な種類の有機溶媒を用いた溶媒耐性試験、および有機溶媒に浸漬後のFO膜の性能評価試験を実施し、適用可能な有機溶媒種類や、今後の膜構造およびプロセスの最適化についての重要な指針を得ることができた。今後は当初の予定通りにこれらの知見を活かしつつ、有機溶媒種類を選定して模擬の有機溶媒含有廃液を作製し、正浸透膜プロセスの試験を実施していく予定である。このようにおおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

当初の予定通りに、浸透圧駆動による透水試験を実施する。H28年度の知見を参考に有機溶媒を選定し、模擬の有機溶媒含有廃液を作製して試験に用いる。本提案手法である正浸透膜分離法は、従来の逆浸透膜法などの圧力駆動による膜分離法と比較して、有機溶媒含有廃液からの水の回収率を高めることが期待できるため、当初の計画通りに低濃度側溶液(FS)に含まれる有機溶媒濃度を変更し、浸透圧駆動によってどこまで水を回収できるのかについて検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] A thin-film composite-hollow fiber forward osmosis membrane with a polyketone hollow fiber membrane as a support2017

    • 著者名/発表者名
      M. Shibuya, M. Yasukawa, S. Mishima, Y. Tanaka, T. Takahashi, H. Matsuyama,
    • 雑誌名

      Desalination

      巻: 402 ページ: 33-41

    • DOI

      10.1016/j.desal.2016.09.022

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Thin-film composite forward osmosis membrane with high water flux and high pressure resistance using a thicker void-free polyketone porous support2017

    • 著者名/発表者名
      M. Yasukawa, S. Mishima, Y. Tanaka, T. Takahashi, H. Matsuyama,
    • 雑誌名

      Desalination

      巻: 402 ページ: 1-9

    • DOI

      10.1016/j.desal.2016.09.017

    • 査読あり
  • [学会発表] 塩分濃度差と分離膜を利用してエネルギーを得る2017

    • 著者名/発表者名
      安川 政宏、比嘉 充
    • 学会等名
      日本海水学会若手会(第8回学生研究発表会) 講演会「海水と私たちの生活」
    • 発表場所
      海峡メッセ下関(山口県下関市)
    • 年月日
      2017-03-02 – 2017-03-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 正浸透膜を利用した省/創エネ型膜プロセス開発に向けた取り組み2016

    • 著者名/発表者名
      安川 政宏、松山 秀人
    • 学会等名
      第10回中四国若手CE合宿
    • 発表場所
      ホテル常盤(山口県山口市)
    • 年月日
      2016-09-28 – 2016-09-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 分離膜を用いた濃度差エネルギーの有効活用法について2016

    • 著者名/発表者名
      安川 政宏
    • 学会等名
      H28年度 先端膜工学研究推進機構秋季講演会
    • 発表場所
      神戸大学工学部(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-20
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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