研究課題/領域番号 |
16K18289
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
室山 広樹 京都大学, 工学研究科, 助教 (40542105)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 触媒・化学プロセス / 環境触媒 / 粒子状物質 / セリウム酸化物 / 複合酸化物 |
研究実績の概要 |
ディーゼルエンジン排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)の主成分はカーボンであり、これを燃焼除去するためにカーボン燃焼に対して高活性を有する触媒が必要となる。本年度は、高活性を有する触媒の一つである銅添加セリア触媒における燃焼挙動の観察を試みた。本触媒を模擬するために、セリア/銅接合界面を作製し、その上にカーボンを蒸着させた。この試料について、空気流通下、昇温過程において、カーボンの燃焼挙動を光学顕微鏡により観察した。異なる厚みを有するカーボンで実験を行ったところ、カーボン膜厚によって異なる燃焼傾向が認められた。膜厚が薄い場合、まず銅上で燃焼を開始し、その後セリア上のカーボンも速やかに燃焼した。一方、膜厚が厚い場合、セリア側から燃焼を開始し、続いて銅側のカーボンの燃焼が起こった。いずれの膜も燃焼開始後、速やかに燃焼が進行した。これは、一度燃焼が始まると、反応熱が周囲のカーボンの燃焼を促進するためであると考えられた。これまでに調製した触媒による燃焼反応に比べると、カーボンの燃焼温度は高かった。また銅種上でのカーボン燃焼は担体酸化物によって大きく異なることがわかっている。したがって、作製したセリア/銅接合界面が実際の触媒中の界面を模擬できていない可能性が考えられた。 高いカーボン燃焼活性を有するコバルト-ランタン添加セリア触媒について、同位体酸素交換反応を行い、セリアへの添加成分のカーボン燃焼過程への寄与の解明を試みた。様々な温度で試験を行ったところ、コバルト成分は酸素交換の開始温度の低温化、ランタン成分は酸素交換量の増加をもたらすことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの検討から、実触媒の界面を機械的に作製して模擬することは困難であることが示唆された。カーボン燃焼における添加成分の役割の解明は、機械的に作製した触媒を使用した実験では簡単ではないため、実触媒を使用した同位体酸素による実験に重きを置く。同位体酸素を使用した実験は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、様々な条件において、同位体酸素交換反応や同位体酸素を使用したカーボン燃焼反応を実施し、添加成分の役割を検討する。また、添加成分のカーボン燃焼反応への効果がおおよそ明らかになったため、新たな触媒材料の開発を行う。コバルト-ランタン添加セリア触媒を中心に、コバルトやランタン成分に変わる有効な成分の探索や触媒調製の違いによる活性への影響の評価などを行う。さらに、カーボン燃焼時に一酸化炭素を経て、CO2へと完全酸化されることから、触媒のCO酸化活性についても評価を行い、カーボン燃焼活性との相関を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より、旅費が低額で済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
新規高活性触媒の調製のために試薬の購入に使用する。反応試験用ガスの購入を予定している。
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