平成28年度、カーボン燃焼に対して高活性を示したコバルト-ランタン添加セリア触媒について、同位体酸素交換反応を行った。その結果、コバルト成分は酸素交換の開始温度の低温化、ランタン成分は酸素交換量の増加に寄与することがわかった。そこで平成29年度、同位体酸素雰囲気におけるセリア系触媒を用いたカーボン燃焼反応を実施した。セリアのみの触媒では燃焼開始時に触媒酸素を含むC16O18O種が緩やかに生成する挙動が観察された。一方で、コバルトやランタン成分の添加した触媒では、燃焼開始時にC16O18O種が速やかに生成した。またランタン成分の添加がC16O2種の割合を増加させたことから、ランタン成分のセリア格子内への固溶によって、より粒子内部にある酸素種までカーボンの燃焼に用いられたことが示唆された。 これまでセリア系触媒を錯体重合法により調製してきた。平成29年度、触媒の調製法がカーボン燃焼活性に与える影響を調べるために、水熱法による触媒の調製を行った。その結果、セリアやコバルト添加セリア触媒では水熱法により調製した場合により高いカーボン燃焼活性を示した。これは触媒の表面積増大および表面欠陥量増加が一つの理由と考えられる。一方で、コバルト-ランタン添加セリア触媒では錯体重合法がよりもカーボン燃焼活性が低下した。水熱法で調製した触媒において、ランタン成分の一部がセリア格子内に固溶せず、表面に存在することがX線回折測定により明らかとなり、これによりカーボン燃焼反応が阻害されたと考えられる。
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