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2016 年度 実施状況報告書

耐熱CFRPサンドイッチパネルを用いた軽量熱防御システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K18314
研究機関国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

研究代表者

久保田 勇希  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 宇宙航空プロジェクト研究員 (30737044)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードポリイミド / アブレータ / 耐熱サンドイッチパネル / 熱防御システム / 再突入カプセル
研究実績の概要

平成28年度は、初年度の目標であった高密度ポリイミドアブレータの開発に成功した。ポリイミド樹脂を母材とした複合材料では成形時に樹脂溶媒が複合材料内部に残存するため、10mm以上の厚い供試体成形は困難である。申請当初の予定では樹脂の重合度をさげ溶媒レスの状態で流動性を示す樹脂、つまりは成形時に揮発物が生じない樹脂を開発することで、厚さ10-40mmを達成する予定であった。しかし、重合度を下げることで樹脂の残炭率が低下し、アブレータの耐損耗性が低下する可能性が示唆された。そこで、プリプレグ成形後における溶媒除去プロセスを摸索した。乾燥手法、乾燥時間を検討し、樹脂がプリプレグに均一に分散された状態で溶媒を完全に除去することに成功した。このプリプレグを用いて作製されたアブレータは、厚さ10mm以上においても、樹脂本来のガラス転移温度と同等の値を示し、本検討で示した溶媒除去プロセスが有用であることを証明した。
さらに平成28年度では、上記作製された高密度ポリイミドアブレータを熱防御材とした新型TPSを作製し、6.0MW/m2においてアーク加熱風洞試験を実施した。試験条件、試験回数ともに1回と少なかったものの、本試験において層間剥離やスポレーションなどの大きな損傷は確認されなかった。さらには、既存材料にくらべ40%ほど軽量にも関わらず、耐損耗性能の低下は見られなかった。これらの結果から新型TPSの高い熱防御性能が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の予定にあった無溶媒状態で流動性を示すポリイミド樹脂の開発には至らなかったものの、プリプレグの溶媒除去プロセスを確立することで、本来の目的である厚み10mm以上のアブレータの作製に成功している。この溶媒除去プロセスによって、ポリイミドアブレータ作成における厚みの制限はなくなり、厚さ10-40mmのアブレータ製作が可能となった。
さらに次年度以降に予定していたアーク加熱風洞試験も、試験回数一回ではあるものの、実施した。大きな損傷は確認されず、新型TPSの高い熱防御性能を示唆する結果となり、今後の実証試験および熱応答解析において大きな成果となった。

今後の研究の推進方策

平成29年度は、高密度ポリイミドアブレータを熱防御材、耐熱サンドイッチパネルを断熱および構造部材とした新型TPSを作製し、加熱率2.0-6.0MW/m2におけるアーク加熱風洞試験および一次元加熱を目的とした静的加熱試験を実施する。これにより、新型TPSの熱防御性能および熱応答性能を明らかにする。さらにポリイミドアブレータの熱物性および機械特性を取得する。具体的には熱伝導率、ガラス転移温度、圧縮強度・弾性率および層間強度を取得し、既存材料と比較する。またサンドイッチパネルのコア材となる多孔質炭素の熱伝導率を測定・算出し、耐熱CFRPサンドイッチパネルの熱伝導率を算出する。
平成30年度は、平成29年度で測定・算出された各物性値を用いて熱応答および構造解析を実施し、新型TPSの基礎的なモデルを確立するとともに、多様な環境における各部材の最適厚を算出する。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度予定していた国際学会への参加を、開発の進捗状況により平成28年度申込み平成29年度発表とした。そのため、その参加費および旅費相当が平成29年度に繰り越しされたためである。

次年度使用額の使用計画

平成29年度において2件の国際学会に参加し、その旅費および参加費とする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 耐熱CFRPサンドイッチパネルを適用した熱防御システムの熱伝導解析2017

    • 著者名/発表者名
      宮本央星、久保田勇希、青木卓哉、石田雄一、小笠原俊夫、梅津信二郎
    • 学会等名
      第8回日本複合材料会議
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-18
  • [学会発表] 宇宙航空分野において求められる耐熱複合材料開発2017

    • 著者名/発表者名
      久保田勇希
    • 学会等名
      静岡大学ナノ粒子革新的応用若手研究会 第2回研究セミナー
    • 発表場所
      静岡大学
    • 年月日
      2017-01-19 – 2017-01-19
    • 招待講演
  • [学会発表] Application of porous carbon material for heat shield of re-entry capsule2017

    • 著者名/発表者名
      Yuki Kubota, Ryo Inoue, Yasuo Kogo, Takuya Aoki, Yuichi Ishida, Toshio Ogasawara
    • 学会等名
      12th Pacific Rim Conference on Ceramic and Glass Technology
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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